高2でJ3今治入団が内定した帝京のDF梅木怜。早い決断の決め手は魅力的なクラブのコンセプトと岡田武史代表からの金言

2023年04月17日 松尾祐希

2月に帯同したキャンプではピッチ内外で貴重な経験

高3でのJリーグ公式戦出場に期待がかかる梅木。写真:松尾祐希

 高校2年次に入団内定が出るケースは決して珍しくない。今やサッカー界のスタンダートになりつつある。去る3月22日、帝京高でプレーするセンターバックの梅木怜(3年)が来季からJ3のFC今治に加入すると発表された。

 チームメイトであるU-18日本代表候補のFW横山夢樹(3年)とともにプロの世界に飛び込むが、今治が所属しているカテゴリーはJ3。今後の活躍次第ではJ1、J2のカテゴリーからオファーが来る可能性もあった。

 なぜ、梅木は早い段階で入団を決めたのか。その背景にあったのが、今治が持つオンリーワンの魅力だ。

 チームを率いる日比威監督はこう話す。

「選手にとって一番良い条件を提示してくれたし、クラブのコンセプトも(魅力が)あった。強化指定選手として既に登録もしてもらっている。J3のクラブに早い時期で決めるケースはあまりないかもしれないけど、(高校年代のうちから)試合経験を詰める可能性があるのは大きい。その刺激を持って帝京に帰ってきてくれるのも、うちとしてはありがたいですね」

 J参入4年目を迎える今治は、会長を務める岡田武史氏が先頭に立ち、"岡田メソッド"の浸透を図ってきた。トップからアンダーカテゴリーまで一貫したプレーモデルの構築を目ざしており、その魅力は唯一無二。加えて、選手を育てようとする意志がクラブからヒシヒシと伝わってきたのも決断を後押しした。

「ちょっとでも早くプロの世界で戦える機会があれば、(高校生のうちにJ3の舞台で)プレーしたい」と意気込む梅木も、クラブからの熱量が決め手のひとつになったと話す。
 
「一番にオファーをもらったし、今年から強化指定選手として試合に出るチャンスがあるのも大きかった。J1やJ2と比べれば、試合に出られる可能性は少なからずあるはずなので、簡単ではないけど、少しは出られるチャンスがあるのであれば、もう決めてしまおうと思ったんです。クラブのビジョンもはっきりしていて、岡田さんがトップに立ってやるべきことが決まっている。そこも決め手になりました」

 実際に岡田氏からも練習参加をした際に声を掛けられ、トレーニングマッチ後に送られた言葉は今でも頭に残っている。「もっと早めにプロの世界でプレーをすれば、もっと成長できるんじゃないか」と金言を授かり、今治に決断するうえで大きなポイントになったという。

 すでに今治の練習には複数回参加。2月のキャンプには1週間ほど帯同し、帝京では得られない経験も味わった。その体験は貴重だったと梅木は振り返る。

「雰囲気がかなり良くて、チームに溶け込みやすい空気があった。スピード感が高校とは違ったし、頭を使ってプレーしないといけない。なので、練習参加では頭がかなり疲れた。それが一番の違いでした。ピッチ外でもリカバリーにかなり時間を費やしていて、毎日それをやっている。やっぱり高校とは違うなって感じさせられましたね」

 早い段階でプロの世界を味わえるのは、梅木にとって大きい。昨季から帝京で主軸を務め、センターバックのレギュラーとして夏のインターハイで準優勝を経験。今季は守備の柱としてプレーし、4月15日に開催されたプリンスリーグ関東1部の第3節・鹿島学園高戦(2-2)はセンターバックの位置で身体を張った守備を見せていた。

 今治ではサイドバックでの起用が想定されており、新たなチャレンジとなる。持ち前のクレバーさを武器にどこまで成長を遂げられるか。帝京では柳下大樹(カターレ富山)以来、10年ぶりの高卒プロとなる梅木が、新たなステージでどんな輝きを放つのか注目だ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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