「みんな海外に行きたい、代表に入りたいと言っていたけど…」汰木康也がプロ入り10年目で明かす胸中。カタールW杯はどう映った?

2023年04月08日 有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)

振り返れば、常にスーパースターだった

神戸で躍動する汰木。視線の先にあるものは?写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 汰木康也、27歳。現在ヴィッセル神戸で活躍する彼と、筆者が最初に出会ったのは3歳の時だ。それから小中は同じ学校に通い、多くの時間を共有した。

 振り返れば、私より1つ年上の汰木は常にスーパースターだった。サッカーではもちろん、体育の記録会でも桁違いの能力を発揮し、勉強の成績も上々。きっとプロになり、将来は日の丸を背負う逸材になるのだろうと、その背中を後ろから見ていた私には何か確信めいたものがあった。

 予感は的中。横浜F・マリノスでのトップ昇格は逃したものの、汰木は高卒でプロ入りを勝ち取り、モンテディオ山形へ入団した。だが、1年目の出場はわずか2試合で、チームがJ1に昇格した翌シーズンは1試合止まり。プロの壁にぶち当たった。

 そのまま埋もれてしまう選手も少なくないが、再びJ2を舞台に戦った3年目の2016年に21試合に出場。待望のリーグ戦初ゴールも奪い、一気に台頭すると、プロ6年目にAFCアジア・チャンピオンズリーグにも出場する浦和レッズへ。新天地でも2年目以降、確実に出番を増やした後、昨季に神戸に加入し、キャリアハイの5ゴール・5アシストをマークした。
 
 少しずつステップアップしているようにも見えるが、本人の感覚的にはどうなのか。久々に顔を合わせたインタビューで、「プロ入りから今時点でのキャリアに点数をつけるなら何点ですか?」と尋ねてみると、彼は真剣な表情で「50点もいってない」と答えた。

「全然駄目です。山形では苦しい時期が続いたし、浦和でも1年目はやっぱり試合に出られなくて、すごく苦労して。自分が思っていたキャリアよりは、何て言えばいいか……。もっと早くに今の位置にいるべきだったのに、という感覚はあります。

 チャンスはたくさんあって、色んなチャンスや選択肢が毎試合転がっている。いつ、どんなチャンスがあるか分からない。本当に毎試合毎試合、アシストやゴールだったり、直接チームを勝たせられるような結果を出す気持ちでやっていますけど、そんな簡単にはいかなくて。でも、その気持ちは常に持っておかないと、というのはあります」

【動画】汰木康也が大爆発!今季初ゴールの強烈ミドル&華麗なヒールをチェック

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