【藤田俊哉の目】“1試合の差”を感じざるを得なかったガンバのコンディション。サンフレッチェは年間を通して力を証明した

2015年12月06日 サッカーダイジェスト編集部

サンフレッチェの優勝で本来あるべき姿で終えられたのはホッとしている。

2年ぶりのJリーグ王者に輝いた広島。リーグ戦では勝点1位だっただけに、本来あるべき姿でシーズンが終わったと言える。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 浅野のヘディングシュートが決まった瞬間、勝負は決まったね。
 
 あれでガンバの反撃ムードは止まって、残り時間はサンフレッチェの「受けて立つ」スタイルがハマって、そのままタイムアップ。最低でも2点が必要だったガンバにとって、残り15分の時点で再び2点差とされたのだから、その後の結果は当然と言えるものだろうね。
 
 第1戦のサンフレッチェのようにアディショナルタイムに2点を奪うことができたらガンバの優勝だった。でも、その余力はほとんどなかったね。もしかたら"1試合の差"は大きかったのかもしれない。ガンバはサンフレッチェと戦う前にレッズとの120分間の死闘があったから、コンディション的に苦しかったかもしれない。プレーにいつものような"シャープさ"を欠いているように見えた。
 
 分析とは関係ないけれど、今回のゲームはかつてのアントラーズとジュビロの戦いを見ているようだった。もちろん、堅守速攻のサンフレッチェがアントラーズで、ポゼッションのガンバがジュビロと、チームのスタイルがカブって見えていた。
 
 スタイルの違いこそあれ、どちらも組織的に洗練されていていいサッカーをしていた。選手たちも鍛え抜かれていて、タフに戦っていた。かつてのアントラーズとジュビロの戦いを思い出しながら、それと同時に、Jリーグのタイトルを争うのにふさわしい見所のある戦いだったと素直に感じた。
 
 僕の評価基準は単純明快で、「勝ったものが強い」ということ。サンフレッチェが勝ったのだから、ガンバよりもタフだったということであり、年間を通して力を証明したということだ。
 
 チャンピオンシップの復活については、いろんなところで議論があるよね。物事にはいろんな角度からの視点があるものだし、そもそも、完全なものというのは世の中には存在しない。チャンピオンシップ復活についてふたつの視点で見た時、「経営的な視点」と「現場的な視点」というものがあると思う。世界的基準に照らし合わせても分かるように、やっぱり、リーグで頂点だったチームが、Jリーグのナンバーワンであるべきだ。
 
 その点で言えば、今回そのリーグチャンピオンだったサンフレッチェが、そのままチャンピオンシップを制して見事にタイトルを手にし、本来あるべき姿でシーズンを終えることができたことに対して、個人的には心のなかでほっとしているよ。
 

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