カタールW杯での日本も参考に実践。EURO予選2連勝のセルビア代表が掲げたテーマとは?【喜熨斗勝史の欧州戦記】

2023年04月04日 サッカーダイジェストWeb編集部

守備ブロックを作る時は作らないといけない

セルビア代表と契約更新した喜熨斗コーチ。

 セルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督を右腕として支える日本人コーチがいる。"ピクシー"と名古屋でも共闘し、2010年のリーグ優勝に貢献した喜熨斗勝史だ。

 そんな喜熨斗氏がヨーロッパのトップレベルで感じたすべてを明かす「喜熨斗勝史の欧州戦記」。今回は3月のEURO予選を振り返ってもらった。
 
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 皆さん、お久しぶりです。

 カタール・ワールドカップは終わりましたが、私はセルビア代表とのコーチ契約を更新しました。ミスター(ドラガン・ストイコビッチ監督)とともに次は来年のEURO2024出場を目指す戦いが始まりましたし、改めて強い覚悟を持って現職に臨む次第です。

 日本代表も森保一監督が続投しました。ただ、欧州のナショナルチームは26年のワールドカップ北中米大会を目指して、一からチーム作りができるわけではありません。すでに始まっているEURO予選をこなしながら、来年のEURO本大会でどういうスカッドを作るか、どういう戦術を構築させていくかを同時進行させていかないといけないのです。以前もお話させていただいたようにワールドカップはゴールではなく、ナショナルチームを強化するマイルストーン。やるべきことを継続しつつ、そのなかでアップデートさせていくのが重要になります。

 私自身、カタール・ワールドカップは感じるものが多い大会でした。セルビアはグループリーグの第2戦カメルーン戦と第3戦目のスイス戦ではリードする展開に持ち込みながら勝ち切れませんでした。なぜか。大会前にMFフィリップ・コスティッチ(ユベントス)やFWドゥシャン・ヴラホヴィッチ(ユベントス)ら負傷者が続出したこともありますが、大きな要因として挙げられるのはリードしたことで"よりイケイケ"になってしまったというのがあります。

 アグレッシブなサッカーが評価される欧州サッカー界ゆえですが、アシスタントコーチとして「守備ブロックを作る時は作らないといけない」と大会後にミスターと話し合いました。その点はカタール・ワールドカップでの日本代表も参考にさせてもらい、今回実践したポイントです。

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