「もう無理だよ」イライラとミスの悪循環。信頼を失った流経大柏の塩川桜道が、世代注目の存在になるまで

2023年03月30日 安藤隆人

学年対抗戦でスタメンに名前はなかった

流経大柏のディフェンスリーダー塩川。「悔しさしかない1年間」を経て、逞しく成長した。写真:安藤隆人

 185センチの長身と、両足から繰り出される正確なフィードが光る流通経済大柏の守備の要・塩川桜道。CBとボランチをハイレベルでこなす彼は、今年に入って心身ともに大きな成長を見せている。

「今年に入って、考えることが多かった。昨年は本当に不甲斐なくて、最後の最後までチームに迷惑をかけてしまった。自分が変わらないといけないと思いました」

 浦和ジュニアユースからやってきた塩川は、昨年はセカンドチームをメインにプリンスリーグ関東を戦いながらも、プレミアリーグEASTでは4試合に出場、インターハイ予選、選手権予選にも出場した。

 しかし、インターハイ予選ではCBとして準決勝の日体大柏戦に出場し、0-3の敗戦。選手権予選ではボランチとして準々決勝の中央学院戦に出場し、1-2の敗戦を喫した。

 プレミアは残留することができたが、主戦場だったプリンス関東は降格の憂き目にあった。結果が出ずに苦しむチームのなかで、塩川もマイナスの方向に向かってしまっていたという。
 
「DFなので失点を重ねる事実が本当に悔しかったし、それでイライラしてしまって、時にはチームメイトと険悪な雰囲気になってしまった。ストレスが溜まってしまって、最後のほうは自分がかなりブレていました。

 イライラして、ミスをして、さらにイライラして、チームや自分のプレーが上手くいかなくなると、勝手に自分の中で『もう無理だよ』と思ってしまい、本当に自分がブレていました」

 そんな塩川に大きな転機となる出来事が起こる。11月下旬のプリンス関東・第17節の三菱養和SCユース戦でミスから失点。途中交代を命じられると、チームを指揮していた高橋隆コーチから「チームのために戦えないならピッチには出せない」と指摘された。そして翌節の最終戦の昌平戦はスタメンから外れ、出番はやってこなかった。

 さらにその後に行なわれた1年生vs.2年生の学年対抗戦でも、選手が主体となってスタメンを選ぶ形だったが、そこに塩川の名前はなかった。

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