【G大阪】歴史に残る「90+6分の悪夢」。万博の悲劇を招いたのは――今野泰幸の“あるプレー”だった

2015年12月03日

90+5分に、その“ワンプレー”は起きた。

まさかの逆転弾を許した直後、今野はがっくりとピッチに崩れ落ちた。 (C)SOCCER DIGEST

 
 広島に3点目を奪われた瞬間、膝からがくりとピッチに倒れ込み、両手で頭を抱えた男がいる。「主役になりそこねた背番号15」――81分にゴールを決めた今野泰幸だ。

 G大阪は一度1-1に追いつかれるも、そのわずか1分後、FKのこぼれ球に今野が反応。ゴール前に両軍の選手が入り乱れるなか、身体を巧みに倒して右足でボールを捉え、わずかな隙間を射抜くコントロールショットでG大阪が勝ち越した。この日の万博がボルテージに達した瞬間だ。

 だが、オ・ジェソクの退場で潮目が変わると、広島の猛攻に晒される時間が続き、90+1分にはFKの流れから同点弾を献上してしまう。G大阪サポーターの悲鳴と広島サポーターの歓喜が入り混じるなか、今野はその時のチームと自身のメンタル状態について「冷静に戦えていなかった」と振り返る。

 この時点でスコアは2-2。G大阪はひとり少ない数的不利な状況で、さらにアディショナルタイムという時間帯も重なり、「2-2で終えるのがベストだった」(丹羽)。事実、G大阪はもはやリスクを負わない形で試合を終えようとしていた。

 ところがである。90+5分に、その"ワンプレー"は起きた。一見すると何気ないプレーだ。よくある場面と言ってもいい。しかし、今野はそれによって頭を抱え、試合終了のホイッスルが鳴った後も、しばらくピッチから立ち上がれなかったのだ

 今野は静かにこう振り返る――「あれは完全に自分のミスだった」と。"あれ"とは失点直前のスローインであり、自分のプレーを分析するように今野は心境を吐露し始めた。

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