雨中のスコアレスドロー。大宮VとN相模原、勝ち切れずとも自分たちのスタイルを体現し、充実ぶりを示す【WEリーグ】

2023年03月27日 西森彰

失点が増えても、ゴールを目ざす

攻撃サッカーを身上とするN相模原。南野(9番)らが果敢に攻めたが無得点に終わった。写真:西森彰

[WEリーグ第12節]大宮V 0-0 N相模原/3月26日/NACK5スタジアム大宮

 WEリーグは、順延していた第7節のサンフレッチェ広島レジーナ対アルビレックス新潟レディースのゲームが3月21日に行なわれ、全チームが10試合ずつを終えた。

 そして25日から、シーズンも折り返しに。そのなかで、第12節で対戦した大宮アルディージャVENTUSとノジマステラ神奈川相模原は、現時点で前者は昨季の9位から4位、後者も11位から7位と大きく順位を上げている。

 N相模原は、1試合あたりの失点数は、昨季とそう変わらない(20試合で33失点→10試合で16失点)が、得点数が倍増(20試合で13得点→10試合で同じ13得点)している。リスクを恐れず、人数をかけ、また杉田亜未や、今季にN相模原の前線に戻ってきた南野亜里沙が、幅広いゾーンで運動量豊富にプレーしている。

「自分が目ざすサッカーは攻撃的な部分が多い。選手が高い位置を取って、技術的、判断的なミスがあって、そこで入れられることもあるが、今の選手は平均的なテクニック、スキルは非常に高く、そういうリスクは少なくなってきている。トップ3とは総合力で劣ってしまう部分もあるが、怖がって守りに入って、引いて戦おうという部分は頭の中にない」(菅野将晃監督/N相模原)

 失点が増えても、ゴールを目ざす。そんなアグレッシブな戦いを具現化しようとする選手について、指揮官は「(積極策を)実現しようとしてやってくれている。WEリーグカップの時とプレーを比べても、全体が高まっている」と評価する。
 
「チームとしてやろうとしているサッカーに取り組めているし、全員がチャレンジできているかなと思います」と南野。最後方でゴールを守る久野吹雪は「パスをつないでボールを運び、守備では即時回収というのが浸透している」と認めながらも「自分たちのパスミスからカウンターで失点することが多い」ことを気にしていた。

 今節の大宮V戦でも、N相模原はイニシアチブを取りにいく。立ち上がりの4分、クラブ生え抜きの若手、笹井一愛のパスカットからの流れで、南野がシュート。6分にも、サイドバックの平野優花が、左から南野へ鋭い弾道のクロスを入れる。

 前節に得点を決めていた松本茉奈加のいる右サイドからの攻撃が前半に少なかったのは、狙いではなく誤算だったようだが、「相手がどこにいて、どこを攻略しようとしているのかが、前半のプレー中には判断できなかった」(有吉佐織・大宮V)。

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