G大阪FWジェバリの知られざるキャリアと人間性。恋人の勧めで北欧へ、突然のサウジ移籍は古巣が憤慨も「チュニジアで暮らす家族の生活は楽ではない」

2023年03月27日 鈴木肇

「家族と離れて暮らすのはとても辛かった」

G大阪に新加入したジェバリ。ここまでJ1リーグ2試合に出場している。(C)SOCCER DIGEST

 今シーズンの巻き返しを図るガンバ大阪に加わったのが、チュニジア代表FWのイッサム・ジェバリだ。カタールW杯に出場した31歳は、これまでどんなキャリアを辿ってきたのか。北欧各国のメディアによるインタビューを引用しながら、日本に来るまでの歩みやプレースタイル、人物像を紹介したい。

 チュニジア北部のマジャズ・アル・バブで生まれ育ったジェバリは、12歳のときに親元を離れて同国の強豪エトワール・サヘルのアカデミーに加入する。そのときの心境について、こう振り返っている。

「家族と離れて暮らすのはとても辛かった。だけど一方で、良い試練だと思ったよ。乗り越えないといけなかった。それまでよりも大きなクラブのアカデミーに移籍できるのは幸運なことだ。お金を稼いで自分の周りの人のために良い未来を築くためには、成功しないといけなかった」(B.T.)

 エトワール・サヘルで順調に成長したジェバリは、2009年に17歳でトップチームの一員としてデビュー。以後、2013年にレンタルとしてザルジスでプレーしたことを除けば、2014年までエトワール・サヘルで過ごし、2015年にスウェーデン2部のIFKヴェルナモに移籍する。アフリカ諸国の選手が北欧のリーグに活躍の場を移すのは珍しいことではないが、ジェバリの場合はその経緯が特殊だった。
 
 ここで時計の針を少し戻す。2010年のことだ。チュニジア第3の都市スースのホテルに滞在していたジェバリは、ある女性と出会う。観光で訪れていたスウェーデン人ニーナ・ビルギッタさんだ。

 2人はほどなくして交際をスタート。当初はチュニジアとスウェーデンの遠距離恋愛だったが、ジェバリはスウェーデンのクラブでテストを受けてみてはどうかとニーナさんから提案を受ける。それが先述したIFKヴェルナモで、ニーナさんの地元ヴェルナモに拠点を置くクラブだった。練習生として参加したジェバリは見事契約を獲得し、スウェーデンへの移住を決意する。

 ヴェルナモでの1年目は26試合に出場して5得点・3アシストを記録。アタッカーとしては突出した数字ではないが、2年目の2016年シーズンは前半戦の15試合で6ゴール・2アシストをマークし、耳目を集める。スウェーデンの複数クラブが触手を伸ばすなか、同年7月にジェバリの移籍先は1部リーグのIFエルフスボリに決まった。

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