バレー仕込みのジャンプ力! 米子北“10番”森田尚人が前線で放つ存在感。空中でパワーを溜めてボールにアプローチ!

2023年03月24日 安藤隆人

小学生時代はサッカーをやりながらバレーボールも

米子北の10番を背負う森田。“高さ”では無類の強さと上手さを発揮する。写真:安藤隆人

 米子北のエースストライカーである森田尚人は、チームの10番を背負う責任と覚悟がある。

 ここ数年の10番は、鹿島アントラーズで主軸として活躍する佐野海舟、ファジアーノ岡山に所属するU-20日本代表の佐野航大の兄弟に加え、北海道コンサドーレ札幌入りが内定している全日本大学選抜の岡田大和(福岡大)という錚々たるメンバーから引き継がれてきた。

「歴代10番が凄くて、プロになっているのも知っています。本当にみんな上手いので、僕はもっと努力が必要だし、僕も続きたいモチベーションになっています」

 森田は179センチのサイズを持ち、前線でロングボールに対して軽やかに、かつ力強いターンを駆使して、多少厳しいボールも収めて起点を作り出す。ボールを持てば積極的なドリブルで縦に仕掛ける。

 その際に目を引くのが、ジャンプのタイミングと高さ、そして空中での姿勢とプレーの強度だ。しっかりと地面を踏みしめてから、落ちてくるボールに対してジャンプをして、寄せられたり身体を当てられたりしても物ともせずにボールをミート。胸でトラップしたり、確実にヘッドで捉えたりと、無類の強さと上手さを発揮する。その力強さの源を聞くと、面白い背景が明かされた。

「父親が京都の強豪高校でバレーボールをやっていて、アタッカーとして春の高校バレー(全国高等学校バレーボール選抜優勝大会)に出場し、今も地域のバレーボールクラブのコーチをやっています。その影響で僕も小学校の時に、サッカーをやりながらバレーボールをやっていました。途中で両立が難しくなって、サッカー1本にしたのですが、その経験が生きていると思います」

 確かに森田のジャンプの仕方は、バレーボールのブロックやアタックの時のような跳び方をしていた。より高く、より空中でパワーを溜めてボールにアプローチする。実際に彼は父親から跳び方の指導を受けていた。
 
「コツとして膝を曲げて、そのバネで一緒に飛んでいく。サッカーのジャンプの仕方はバレーとは違うのですが、共通する部分もたくさんあって、両足跳びより、片足跳びのほうが高さは出るので、そこは意識しています。このおかげで高い打点でボールを触れるので、父親には本当に感謝しているし、父親の血を引き継いでいるなと思います」

 中国新人大会は準決勝で玉野光南の前にPK戦の末に敗れたが、森田が前線で放つスピード、パワー、高さは全国トップレベルであることは感じることができた。

「去年までは先輩たちにチームを引っ張ってもらって、僕はそれに乗っかっていた。自分から周りにどうしてほしいという意志を発信できなかった。先輩は僕の持ち味を引き出してくれたけど、それでは自分が成長しないと感じていました。

 今年は最高学年になるからこそ、これまで3年生にしてもらったことを、自分たちが下級生にしてあげないといけないので、責任感と自覚を持ってやっていきたい」

 歴代10番に恥じないように、森田は背中に感じる重みをパワーに変えながら、米子北のエースストライカーとして高校ラストイヤーを駆け抜けていく。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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