「彼らの強さはわからなかった」ELで強豪ユベントスに敗戦も、堂安律が感じた手応え「勝ちに値するパフォーマンスを見せたと思う」【現地発】

2023年03月19日 中野吉之伴

ホームでの第2レグで0-2の敗戦

ユベントス戦、果敢なプレーで身体を張った堂安。(C)Getty Images

 イタリアの盟主がフライブルクにやってくる。数年前だったら考えられないシーンだ。だが事実として、フライブルクは昨季6位でブンデスリーガをフィニッシュし、今季ヨーロッパリーグに出場。グループステージを首位で突破した。そして、チャンピオンズリーグからプレーオフを経由して回ってきたユベントスと相まみえた。

 ファンのボルテージは最高潮だ。アウェイでの第1レグは0-1で敗れたが、ホームでは公式戦15試合連続無敗中。スタジアムが一つになった雰囲気の中で、チームはいつだって勇敢で、躍動感たっぷりに、一丸となったサッカーを見せてくれる。

 ヨーロッパリーグのアンセムが流れ、選手がピッチに入場してくる中、スタジアムにはチームカラーの赤と白で彩られたコレオが出現し、そして「僕らはみんな赤と白の世界で生きている」「僕ら友達みんなが乗船している」と書かれた横断幕で迎え入れる。

 キックオフから10秒、最初のボールを巡る競り合いで主将のクリスティアン・ギュンターが激しいぶつかりを見せる。ファウルとはなったが、この試合への意気込みを全身で表し、ファンがそれに呼応するように大きな歓声を上げた。

 ユベントスがボールを持つと前線のミヒャエル・グレゴリチュ、堂安律、ルーカス・ヘーラーの3人が勇猛果敢に連続でプレスに行き、ギリギリのところへ全員が身体を張っていく。
 
 ユベントスも試合巧者だ。相手のプレスを上手くいなし、生まれた隙を逃さない。相手選手を引き連れながら動くことでスペースを作り出し、そこへ後ろから選手が代わる代わる飛び込んでいく。右サイドを中心にチャンスを作っては惜しいシーンを生み出す。

 27分にはFKからドゥシャン・ヴラホビッチがこぼれ球をゴールしたかに思われたが、これは直前にオフサイドがあったという判定で取り消し。ファンが沸く。みんなが立ち上がる。両手でチームマフラーを掲げる。

 41分、連続シュートのピンチでDF陣とGKマルク・フレッケンが必死に守ったと思われたが、VARの判定でDFマヌエル・グルデがハンドの反則を取られてPK。このプレーで2枚目のイエローカードをもらったグルデは退場処分に。1人少なくなったうえ、このPKも決められてしまうという非常に苦しい展開に。

 残り45分以上、数的不利でのプレーを余儀なくされたフライブルクだが、攻撃への姿勢を崩さずに戦い続ける。1人少ないはずなのに押し込んでいく。ファンは途絶えることなく声援を送り続け、選手は立ち止まることなく戦い、走り続ける。

 限界まで力を出し切った。あと少しでゴールというところまで迫った。しかしゴールは遠かった。終了間際にも、フェデリコ・キエーザにゴールを許し、ジ・エンド。
 

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