【2015総括】磐田編|「昇格」のミッションとともにJ1仕様の「アクションサッカー」に邁進した1年

2015年11月27日 サッカーダイジェスト編集部

シーズン中の苦しい時期にも「どんな時でも前から行く」と意思統一。

今季は本来の左SBとボランチでフル稼働した宮崎。いぶし銀の活躍でシーズンに渡ってチームを支え続けた。写真:徳原隆元

 J2を制した大宮と2位の磐田。来季のJ1昇格を決めた両チームは、今季の42試合をいかに戦ったのか? 各クラブの担当記者が、11月23日で今季最終戦を迎えた2015シーズンを振り返り総括する。
 
――◆――◆――
 
ジュビロ磐田
成績:2位 勝点:82 24勝10分8敗 72得点・43失点
 
【2015シーズンの出来を点数で表わすと?】
90
 
「相手に合わせることはしない。攻守で自分たちから仕掛けるアクションサッカーをしていく」
 
 昨季9月に就任した当初から、名波監督は目指すスタイルを明確に打ち出した。「自分たちのサッカーを高めていきたい」。今季は、それが選手たちの合い言葉になった。
 
 ブレずにひとつのスタイルを目指す姿勢が、苦しい時に『戻る場所』になり、チームの『結束力』を高めた。そのふたつの要素こそ、低迷期に欠けていたもので、これらを作り上げた名波監督の手腕は、高評価に値する。
 
 夏にコンディションが低下し、また、攻守の軸となる"前からの守備"を整備していく過程で迷いが生じて苦しんだ。しかし、「迷いはあったが、バラバラにはならなかった」と選手たちはその時期を振り返る。そこを乗り越え、終盤戦は13戦負けなし。最終節の大分戦では90分に追いつかれても諦めず、決勝点を挙げて自動昇格を決めた。精神的な逞しさも、昨季とは見違えた。

 前線のスーパーな外国人選手に頼りきるのではなく、堅守速攻の壁に勝利を阻まれながらも、連動するサッカーを志向し続けた。出来や戦いぶりだけをみれば、上々とはいえないが、そのサッカーは、J1を闘う来季につながるもの。昇格しただけではなく、そこにも高評価の理由がある。

【今季のチームMVPは?】
宮崎智彦
 
 序盤、コンバート先としては最も難しいボランチの役回りをこなし、川辺が成長しボランチに入ると、元の左SBに戻り攻守に安定したプレーを見せた。周りの選手を活かし、活かされる力量も卓抜。得点を量産したジェイ、ビッグセーブを続けたGKカミンスキーもMVPに値する活躍を見せたが、「目立たないが効いている、計算できる」MFの存在は大きかった。

文:高橋伸子(フリーライター)
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