勝点1差に5チームがひしめく大混戦!日本人所属クラブも絡むブンデスの熾烈な残留争いを勝ち抜くのは?【現地発】

2023年03月10日 中野吉之伴

シュツットガルトは原口の獲得がポジティブに作用

(左から)浅野、吉田、遠藤はチームの残留に導けるか。(C)Getty Images

 ブンデスリーガの残留争いがかつてないほど白熱している。

 14位ヘルタが勝点20、15位シュツットガルト、16位ホッフェンハイム、17位ボーフム、18位シャルケの4クラブが勝点19と、勝点1差で5クラブがせめぎ合う大混戦だ。

 後半戦猛反撃に出ているのが吉田麻也、上月壮一郎がプレーするシャルケだ。前半戦終了時の勝点はわずかに9。シーズン途中早々に解任されたフランク・クラマー監督の後を継いだトーマス・ライスがワールドカップの中断期を利用してチームに確かな方向性をもたらした。

 18節ケルン戦から21節ウニオン戦まで4試合連続無失点を記録するなど安定感が劇的にアップ。前半戦17試合で41失点していたことを考えると、まるで別のチームのようだ。21節で遠藤航、伊藤洋輝、原口元気を擁するシュツットガルトに2-1で勝利すると、22節では浅野拓磨所属のボーフムを2-1で撃破。一気に勝点差を詰めた。

 前半戦は最後尾で孤立することが多かった吉田だが、冬の移籍でセルティックからレンタルで補強されたCBモーリツ・イェンツという信頼できるパートナーを得られた恩恵は大きい。試合ごとに4バックの布陣が変わってばっかりではさすがに組織だった守備は難しい。チームとしての守備が機能すると、吉田の持つ戦術眼やポジショニングは非常に冴えわたり、堅守に欠かせない存在として活躍している。

 CFミヒャエル・フライの補強も当たった。まだノーゴールだが、前線からのプレス、ポストワーク、味方の攻め上がりを引き出す動きに長けており、マリウス・ビュルター、ロドリゴ・ツァラツァーのチャンスにつながっている。そしてセカンドチームから昇格した上月は、その得点センスで重要な役割を担うことになりそうだ。

 後半戦の戦績は2勝4分けで7位につけており、5クラブの中で一番残留への可能性が高いと言えるかもしれない。

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 シュツットガルトは原口の獲得がポジティブに作用し、チームとしてのパフォーマンスは悪くない。毎試合クオリティの高いチャンスを作り出すこともできている。中盤では原口と遠藤が攻守に中心として活躍し、伊藤も左CB、SBで随時出場。21節ではケルンに3-0で快勝した。

 ただ、チームとしての好不調の波が大きいのが気がかりだ。続くシャルケ戦では内容的にもふがいない出来での敗戦している。

 就任以来勝星がなかなかついてこないため、ブルーノ・ラッバディア監督の賛否を問う声も増えており、元SDのスベン・ミスリンタートにいたっては、「ラッバディアが監督としてパーフェクトにチームに合うとは思っていない。ただ彼の持つクオリティがあれば、コンパクトな守備と守備的な戦い方という異なるアプローチで残留を達成することはできる」と意味深なコメント。ホームでの勝利数を増やし、アウェーで粘り強く勝点を拾っていきたい。昨シーズンは最終節に遠藤による劇的なゴールで残留を果たしたが、今季も最後まで厳しい戦いが続きそうだ。

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