「ソシエダの重要な選手になれる」レジェンドOBに訊いた久保建英の“リアル評”。「好印象なのは守備。苦手にしていると…」

2023年03月03日 ミケル・レカルデ

「まだ能力の一端しか見せていない印象があった」

今やソシエダの中心としてプレーしている久保。(C)Getty Images

 アイトール・ロペス・レカルテはレアル・ソシエダの歴史に残る名選手だ。同じくソシエダでプレーし、1986-87シーズンのコパ・デル・レイ優勝メンバーでもあるルイス・マリを兄に持ち、長年、不動の右SBとして君臨。2002-03シーズンには、レイノー・ドゥヌエ監督の下でチームは快進撃を見せ、ラ・リーガ制覇にあと一歩まで迫った。その一方で、06―07シーズンに40年ぶりに2部に降格した時のキャプテンでもある。スペイン代表の一員としては98年のU-21欧州選手権で優勝を経験。フル代表のキャップ1は、開催地、バレンシアに降り注いだ豪雨の影響で中断、中止となった歴史的な一戦でもあった。

 現役引退後、ソシエダを近くで見守ってきたレカルテは、タケ・クボ(久保建英)をはじめとした新戦力の活躍も光る今シーズンのチームの戦いぶりに大きな可能性を感じている。

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――今シーズンのソシエダをどう見ていますか?

「怪我人の頻発する難しい状況だ。選手一人ひとりがベストな形で試合に臨めるよう、監督はマネジメントしなければならない。ソシエダは相手に食らいつく泥臭さが信条だ。その持ち味を発揮し、ファンの期待に応えてもらいたい」
 

――クボの獲得が決まった時の印象は?

「多少の疑問は感じたよ。彼はまだ能力の一端しか見せていない印象があったからね。ずっとレンタルで転々としていたけど、自分のサッカーに適した環境を見出すことができなかった。その点、ソシエダでようやく目指すべき将来の方向性というものを確立しつつある。あとはここからどのような選手に成長し、チームに貢献していくかだ。その過程の中で、我々は真の彼の姿を見ることになるだろう」

――ここまでのプレーをどう評価していますか?

「積極的にボールに関与しながら、ラストパスを繰り出し、決定力を発揮するという方向に進化しているように感じる」

――強みと課題は?

「技術面ではボールコントロール、パス、ドリブルと素晴らしいものを持っている。プレーの引き出しも豊富だ。時々、ボールに関わろうという気持ちが先行し過ぎているかもしれない。重要なのは、いかにチームにインパクトをもたらすかだからね。ソシエダで重要な選手になれる可能性は感じさせるけど、最終的な評価の基準となるのはあくまで数字なんだ。好印象なのは守備面だ。苦手にしていると思っていたけど、体力的なハンデがある中で即時奪回を実行し、球際の攻防でも激しく当たりにいっている。彼はいつも真っ向勝負だ。その意味ではソシエダでワンランク上への進歩を見せている。確かに試合から消えてしまうこともある。でもそれはクオリティの高い選手にはよくあることだ。その点において彼に多くを求めるのは酷だと思う」
 
【動画】ソシエダ番記者が絶賛!古巣マドリ―を翻弄した久保のボール奪取→3人置き去りドリブル→スルーパス

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