「メッシに最終コーナーでラストスパートをかけられる屈辱」C・ロナウドの現況に元マドリー指揮官が見解「どんな札束でも、痛みがお金で緩和されるとは…」

2023年02月25日 エル・パイス紙

メッシが先天的な天才なら、クリスティアーノは後天的な天才

今冬にサウジアラビアへ渡り、ついにトップリーグを離れたC・ロナウド。(C)Getty Images

 クリスティアーノ・ロナウドは自他ともに認める唯一無二の存在だ。しかし現在、その支配圏がサウジアラビアに限定されてしまった。彼のような性格を持つ人間にとって、その痛みがお金で緩和されるとは考えられない。

 どんなに札束で埋め尽くされた生活を送ろうが、高い志を持って自己研鑽できる精神にアドレナリンを送り込み、並外れたキャリアを支える原動力となってきたエゴを満たすことはないはずだ。

 リオネル・メッシが先天的な天才なら、クリスティアーノは後天的な天才だ。繰り返し練習することで磨かれる技術、自らを追い込むことで強化されるフィジカル、向上心を刺激することで養われる得点嗅覚。キャリアを通して改善できることはすべて模範的な方法で改善してきた。
 
 しかしこれまで彼を支えてきたそのエゴが、間違った出口のドアを指し示す事態に陥っている。無敵と思えたフィジカルは、今なお非の打ちどころがないが、偉大なクラブチーム、偉大な代表チームのリーダーとして君臨し、メッシと世界最高の座を争っていた頃の圧倒感はなくなった。

 クリスティアーノがこの状況にもがき苦しむのは何も不思議なことではない。10代の頃から壁の高さに関係なく困難に立ち向かい、常に勝者として支配し続けてきた男だ。しかし我々人間が決して勝つことができないものがある。時の流れだ。

 しかも誰もが経験するその挫折をフットボーラーは人生で2度直面し、さらにその1度目は早い段階で訪れる。突き付けられた現実を受け入れることができなければ、手に負えないものになる。ユベントスはさりげなく、マンチェスターは面と向かってその事実を伝え、代表監督もワールドカップの真っ只中に見放されてしまった。

 結果的に、クリスティアーノはメッシに最終コーナーでラストスパートをかけられるという屈辱を味わった。永遠のライバルは、自身よりもなおも疲弊したフィジカルで、才能の最後の一滴まで絞り絞った。長年お互いがどんな武器を駆使してマッチレースを演じてきたかが明らかになった瞬間でもあった。

 フットボールの世界では「現在」は瞬く間に「過去」になる。どんなに成し遂げた功績が輝かしいものであっても、だ。クリスティアーノももちろん例外ではない。

【動画】自慢の決定力が爆発!C・ロナウド衝撃の4ゴール

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