【広島】J1最多得点記録に並んだ佐藤寿人。ゴールへの欲が冷めない訳

2015年11月22日 小田智史(サッカーダイジェスト)

中山氏も絶賛するゴール! リーグ最終戦で157点目に到達する。

157ゴールを記念するユニホームを着用した佐藤。今季リーグ最終戦で、周囲の期待に応えてみせた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

「今日、絶対にゴールを取らないといけない――」。
 
 普段は目覚めが良いはずが、ずっとその想いが頭を駆け巡り、佐藤はどこかモヤモヤした気持ちで朝を迎えていた。リーグ最終戦となる湘南戦が、今季J1最多得点記録に挑戦できる最後のチャンス。チームメイト、スタッフ、サポーターら多くの人々からの期待を考えると来季に持ち越すことはできない、と知らず知らずのうちにプレッシャーになっていたのだ。

【J1 PHOTOハイライト】佐藤寿人がJ1通算最多得点記録に並ぶ!
 
 スタジアムに出発前、ふたりの息子たちに「ゴールできるように」と、彼らの名前が刺繍されているスパイクを触ってもらい、ゲームに臨んだという。広島は序盤、サイド攻撃やカウンターで湘南ゴールに迫るが、佐藤にシュートチャンスは訪れない。それでも。痺れを切らさず、粘り強く前線で駆け引きを続け、時には最終ラインまで戻って守備をした。
 
 そんな佐藤の献身的な姿を、サッカーの神様は見ていたのだろう。2-0で迎えた42分、待望の瞬間が訪れる。左サイドを突破した清水がファーサイドにクロスを上げた先に、ほぼノーマークで待ち構えてヘディングシュートを叩き込む。8試合ぶりのゴールで、J1通算得点を157とし、中山雅史氏(元・磐田ほか)の持つ歴代最多得点記録に並んだ。佐藤は歴史的な瞬間をこう振り返る。
 
「自分らしいゴールだったと思う。それまでは相手の視野のなかでのプレーが多かったけど、あの場面は裏を取って相手を上手く無効化できた。動き出しで駆け引きして、あの一瞬相手を上回ることができたし、アンドレ・バイア選手は自分がポジションを変えたらそれに必死に付いてきたから、プレーしていて楽しかった」
 
 第2ステージ9節の名古屋戦以降、7試合ゴールから遠ざかり、「(トンネルは)長いと言えば長かった」(佐藤)が、自分が得点できない間もチームとして勝利を重ねていたぶん、自然体でいられたという。
 

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