【千葉】3バック?4バック?惑わされる新スタイル。「当たり前のことを当たり前にやる」が合言葉の小林新体制は面白そうだ

2023年02月12日 本田健介(サッカーダイジェスト)

ちばぎんカップで柏に勝利

ちばぎんカップで柏に勝利した千葉(白ユニホーム)。勢いを得て1週間後の開幕戦に臨めそうだ。写真:梅月智史

[ちばぎんカップ] 柏2-3千葉/2月12日/三協フロンテア柏スタジアム

 柏と千葉が対戦するシーズン前恒例のちばぎんカップ。今年は柏のホームで開催された一戦は、J1昇格を目指す千葉がJ1の柏に3-2に勝利し、幸先の良いスタートを切った。

 3バック? 4バック? 記者席からも疑問の声が挙がったように、今季から小林慶行新監督の下で再出発した千葉は、噂通り掴みどころのない戦い方を見せたのだ。

 新シーズンに向けては3-3-3-1という変則的なシステムもテストしているとの情報も耳にしていただけに、監督初挑戦の指揮官の下でどんなサッカーを見せるのか、大いに楽しみだったが、その初陣ではやはり流動的なスタイルが披露された。

 スタートの立ち位置は3-1-4-2と記せば良いのか。ただ、4-1-4-1の布陣を組んできた百戦錬磨のネルシーニョ監督率いる柏に対し、守備時は4-4-2に可変。左ウイングバックに抜擢された昇格1年目の矢口駿太郎が最終ラインに落ち、中盤もフラットに近い4枚の並びとなる。

 相手を見て臨機応変に対応する。小林監督が目指すべきスタイルがいきなりピッチ上で描かれていた。

 もっとも新生ジェフはシステムに捉われた"頭でっかち"なチームになるわけではないようだ。小林監督は新体制会見から強調していた。

「当たり前のことを当たり前にできるチームになる」


 相手より走る。球際で負けない。約束事を守る。サッカーにおける基本中の基本を改めて意識しようと呼びかけたのだ。

 前半に大卒ルーキーのFW小森飛絢、新エースとして期待されるFW呉屋大翔が奪った2ゴールは相手のポゼッションのミスから。ただし、プレッシングを効果的にかけつづけ、諦めずにボールを追い続けた成果とも言えるのだろう。
 
 2-1で折り返した後半は、柏の圧力に押され、51分には同点に追い付かれてしまう。それでも69分には素早いスローインから左サイドをMF見木友哉が突破して折り返すと、相手DFがクリアし切れなかったボールを呉屋が押し込んで勝ち越し。終盤は交代策を用いてカウンターを発動させながら、守備の強度も上げて新生ジェフは逃げ切った。

 相手や状況にやってシステムや立ち位置を変え、有利な状況を作る。これは非常に難易度の高いサッカーである。それでも悲願の昇格へ「それくらいのことをやっていかなくちゃいけない立場にある」と話したのは守護神の新井章太だ。

 加えて新井といえば、川崎でリーグ連覇とルヴァンカップ制覇を経験し、勝者のメンタリティを培ってきた存在。だからこそ「当たり前のことを当たり前にやる」大切さを誰よりも知り、体現する。

 チームとしていきなりすべてが上手くいくとは思えない。可変式システムも相手に逆手に取られるシチュエーションもあるだろう。地力の勝負に持ち込まれるゲームだってあるはずだ。

 それでも、「これで良し」と中途半端にしてきたことを改めて洗い直し、自分たちを律し続けることができれば、見えるものがあるはず。それは「当たり前のことろ当たり前にやって」成功を掴んできた多くの先人たちが証明している。

 ジェフは果たして変われるのか。新たな1年の挑戦は興味深いものになる可能性はある。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【PHOTO】熱い声援がスタジアムに轟いた!!柏×千葉の両サポーター
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