三笘薫には「感謝しかない」、PK奪取は「南野拓実を意識」。思考を繊細に表現する堂安律は、“フィニッシュ”と“仕掛け”を貪欲に追求【現地発】

2023年02月12日 元川悦子

ゴールへの意欲を色濃く示し続ける

シュツットガルト戦では、W杯で敗れたクロアチア代表のソサ(右)とマッチアップ。堂安(左)は「自分の実力を測る良い相手だと思ってプレーしました」。(C)Getty Images

 2022年カタール・ワールドカップでドイツ、スペインから1ゴールずつを挙げ、一躍、時の人となった堂安律(フライブルク)。昨年末に国内外で凄まじい注目を浴びた男は、1月21日のヴォルフスブルク戦から今季のシーズン後半戦に挑んでいる。

 リーグ再開後のフライブルクは勝ったり負けたりと出入りの激しい状況。堂安は右MFで全試合に先発出場し、攻守両面で貢献度の高い仕事を見せている。

「『堂安=決める』と見られていることは、良い刺激になっています。それに応えないといけない。ゴールというのは自分の課題。日本のサポーターにはそれが特長だと思われているけど、案外、それが課題というギャップがあります。今はそこを強く意識して取り組んでいます」と、堂安はフライブルクでも「ここ一番で点の取れる男」になるべく、ギラギラ感を前面に押し出しているという。

 2月11日のシュツットガルト戦でも、そんな強気のマインドが要所に出ていた。

 ご存じの通り、シュツットガルトには遠藤航と伊藤洋輝の両W杯戦士、冬の移籍期間に加わった原口元気という日本人トリオがいる。彼らは堂安のストロングを消そうとトライしてきた。特にポジションが重なる原口は激しいデュエルで自由を奪おうとする。
 
 それだけに、普段のゲームよりも難易度は高かっただろうが、そういったなかでも背番号42は虎視眈々とチャンスをうかがい、15分の強引なドリブルシュートを皮切りにゴールへの意欲を色濃く示し続けた。

 前半こそ相手左FWクリス・ヒューリッヒに華麗なミドルを決められ、0-1のビハインドを背負ったフライブルクだが、後半になると主導権を握り返す。

 開始5分には堂安のシュートがDFに当たって入ったかと思いきや、惜しくもオフサイドで取り消しに。本人も大いに悔しがった。それでもめげることなく、仕掛けやスルーパス、シュートなど攻めのアクションを起こし続けた。

 最もインパクトが大きかったのは、同点に追いつき迎えた終盤の決勝PK奪取。80分、堂安はペナルティエリア内に侵入し、相手CBダン・アクセル・ザガドゥのファウルを巧みに誘った。これがVAR判定の末にPKとなり、ビンチェンツォ・グリフォが確実にゴール。フライブルクは逆転に成功し、このまま2-1で首尾よく勝利。暫定でチャンピオンズリーグ出場圏内の4位をキープした。
 

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