【番記者推奨!柏のブレイク候補】188センチで左利き。高さ、強さ、上手さを兼備するCB田中隼人は、“若手”から“主力”へと上り詰める

2023年01月31日 鈴木潤

選手層が心もとないCB陣で鍵を握る存在

“勝負の2年目”に挑む田中。今季の背番号は、過去に名手が背負った「20番」を託された。写真:鈴木潤

 来るべき2023年シーズン、リーグを盛り上げるのはいったい誰か。新たなスターは生まれるのか、未来を切り拓くニューヒーローは出現するのか。番記者推奨のブレイク候補、今回は柏レイソルのDF田中隼人だ。

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 彼には"大器"という表現がよく似合う。188センチという長身ながら足もとの技術に長け、好フィードや縦パスで攻撃のスイッチを入れられる特長を持つ。

 2年前の2021年に、U-18所属の2種登録選手としてルヴァンカップでは3試合で起用され、プロ1年目の昨シーズンは公式戦8試合に出場した。特にJ1デビュー戦となった23節・神戸戦、続く24節・京都戦では、欠場した古賀太陽の穴を埋めるとともにチームの連勝に貢献した。高さ、強さ、上手さを兼ね備えた左利きのセンターバック、田中隼人である。

 今オフ、柏は積極的な補強を行ない、高嶺朋樹、仙頭啓矢、山田康太らの加入によって選手層は厚みを増した。一方で、守備陣の枚数には少なからず懸念があり、ジエゴ、片山瑛一の加入こそあるものの、本職のセンターバックの獲得は立田悠悟のみに終わった。大南拓磨、高橋祐治、上島拓巳が抜け、枚数的に見ればセンターバックの選手層は確かに心もとない。

 その懸念を解消させる存在として鍵を握るのが田中だ。ネルシーニョ監督も、今シーズンを戦ううえで、彼を若手ではなく主力の一人と見なしており、大勢の若手選手のなかでも唯一彼だけが、クラブから背番号の変更を打診された。田中に与えられたのは20。かつてホン・ミョンボや李忠成が背負った番号である。

 迎えるプロ2年目のシーズン、田中は"勝負の2年目"と位置づけ、「レギュラーを獲得する」と新シーズンへの意気込みを口にした。

「気持ち的にワクワクしています。枚数的に見たらセンターバックは人数が少ないと言われています。でもそれは自分にとっては大きなチャンスで、去年よりも出場の機会は増えると思っているので、そのチャンスをどうモノにするかは自分次第。この先を考えた時にも、今年はレギュラーを勝ち取らなければいけない、チャンスを掴み取らなければいけない」(田中)
 
 先週まで鹿児島県指宿市で行なわれていたキャンプでも、田中は紅白戦や練習試合において終始安定した守備を発揮し、持ち味であるフィードや縦パスで攻撃の起点にもなった。

 キャンプでの一連のパフォーマンスを振り返り「何本も前線にパスを出せて、守備ではリスク管理を意識してカバーリングができました。良い出来だったと思います」と自らのプレーに手応えを感じ、開幕へ向けてアピールを続けている。

 2023年は、田中にとってU-20ワールドカップに出場する重要なシーズンになる。しかし彼が見据えているのは代表での活躍だけではない。柏で定位置を掴み取り、昨年までの若手という立ち位置から今年は主力へと上り詰める。

 そして彼の成長は、柏の守備力向上にもつながるのだ。

取材・文●鈴木潤(フリーライター)

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