パリSG戦で躍動した伊東純也。森保監督が視察した一戦で示した多彩な攻撃能力とは?【現地発】

2023年01月30日 元川悦子

角度のないところから強烈なシュートも

パリSG戦で先発した伊東。積極的な仕掛けで見せ場を作った。(C)Getty Images

「まずフランスに入り、伊東純也の試合を、パリ・サンジェルマン戦を見ようと思っています。ワールドカップ(W杯)の振り返りと今後の我々がやるべきことの整理をしたいと考えています」

 1月28日に欧州視察に出発した日本代表の森保一監督は報道陣にこう語った通り、カタールW杯のあと、真っ先に赴いた試合が29日のパリSG対スタッド・ランス戦だった。

 それだけ指揮官は伊東の動向を注視しているということ。日本のW杯全4試合に出場し、右MFから右ウイングバック、2シャドウにFWと多彩な役割をこなし、攻守両面で貢献した快足アタッカーを高く評価しているからこそ、メッシやネイマール、エムバペと"MNMトリオ"との直接対決を目に焼きつけたかったに違いない。

 この日のS・ランスは4-2-3-1に近い布陣でスタート。右MFに陣取った伊東はW杯後、リーグ5戦連続先発だ。パリSG相手ということで、一方的に押し込まれる展開が予想されたが、意外にもS・ランスがアグレッシブに攻め込む。

 序盤からハイプレスをかけ、高い位置でボールを奪って攻め、押し込まれた時にはコンパクトにブロックを作るというスタイルは、カタールW杯の日本代表を彷彿させるものがあった。
 
 こうしたなか、伊東も積極的な仕掛けを披露する。15分には中央でボールを受けると、右サイドを上がった右SBフォゲとワンツー。自身はゴール前へ侵入し、ダイレクトでボレーを放った。惜しくも枠外に飛んだが、先制点が生まれていてもおかしくないプレーだった。

 この9分後にはMFカユステのスルーパスに反応。角度のないところから強烈シュートを放つ。これは敵の守護神ドンナルンマに阻まれたが、伊東らしい躍動感が色濃く出ていた。直後にはネイマールから巧みにボールを奪ってカウンターを演出。守備面でも光るものを感じさせた。

 W杯では守勢に回る時間帯が長く、本人もストレスを感じただろうが、その経験をしっかりとクラブで活かしているのは前向きに捉えていいだろう。前半のシュート数はパリSGの1本に対し、S・ランスが10本。それだけ内容では相手を凌駕していた。

 しかし後半開始早々、パリSGはメッシとネイマールの個の力で強引に1点をもぎ取る。正直、リーグ・アンでのパリSGは高度な組織力や連動性のある戦いをしているとは言えないようだが、それでも圧倒的な個がゴールをこじ開けてしまう。エムバペも一瞬で対面の選手をかわしてシュートまで持っていける爆発力と決定力を随所に示していた。
 

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