「万事休す…誰もがそう思った瞬間、タケが不屈の精神を発揮した」飛車角落ちのソシエダを牽引した久保建英に番記者が感服。トップ下起用は「信頼の表われ」【現地発】

2023年01月28日 ミケル・レカルデ

「最も厳しい時間帯」と言っても過言ではなかった

古巣のバルサ戦で攻守に奮闘した久保。(C)Getty Images

 レアル・ソシエダのタケ・クボ(久保建英)のセールスポイントの一つが様々なポジション・役割をこなすことができるポリバレント性だ。もちろん選手である以上、得意なポジションがあるはずだが、明確に口にしたことはない。

 我々が行なったインタビューでは、「ポリバレントであること、ミステル(監督)がいろいろな場所で試してくれること、信頼してくれることが好きなんだ。4-4-2ではメディアプンタとして2トップの一角かインテリオール、4-3-3ではインテリオールかウイングでプレーできる。ミステルは対戦相手に応じていろいろなシステムを使いたいと考えていると思うので、それに対応できるようにしたい」と語っている。

 これまでのマッチレポートでも何度か触れてきたように、イマノル・アルグアシル監督はダビド・シルバ役としてダイヤモンド型の頂点でタケをプレーさせることを理想としている。大きな誤算は、開幕以来、前線に負傷者が続出していることで、その影響で2トップの一角で起用されることが増えている。
 

 そんな中、コパ・デル・レイ準々決勝のバルセロナ戦を翌日に控えた24日の練習でシルバがふくらはぎを負傷。アルグアシル監督が代わりに"10番"役に抜擢したのが、大事をとって先週末のラ・リーガ第18節のラージョ・バジェカーノ戦でメンバーから外れたタケだった。改めてアルグアシル監督の信頼の高さを示す人選だった。

 そのパフォーマンスに期待が集まったが、ソシエダは立ち上がりの30分、守勢を強いられた。バルサのパスワークに翻弄され、プレスがはまらず、2018年12月にアルグアシル監督が復帰して以来、「最も厳しい時間帯」と言っても過言ではなかった。

 その劣勢の中で、30分、相手選手の間をすり抜けたパブロ・マリンがお膳立てをすると、タケが左足を一閃。シュートは惜しくもクロスバーに嫌われたが、これがソシエダにとって前半唯一のチャンスだった。しかも38分、セルヒオ・ブスケッツの足を踏みつけたブライス・メンデスが、VARチェックを経て一発退場を命じられた。
 

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