選手権覇者・岡山学芸館の次代を担う平塚仁と田口裕真。U-17選抜合宿で痛感した現実…次への第一歩となる“気づき”を得る

2023年01月28日 安藤隆人

空前の『岡山学芸館フィーバー』に忙殺

U-17日本高校選抜の合宿に参加した平塚(左)と田口(右)。喧噪から離れ、自らの現在地を再確認した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 101回目の全国高校サッカー選手権の王者となった岡山学芸館。2年生の主軸として優勝に貢献したGK平塚仁とMF田口裕真の2人は、決勝から2週間弱経った1月20日から静岡県内で行なわれたU-17日本高校選抜の合宿に参加していた。

「自分たちも正直、予想していないくらい、岡山でいろんな人から応援の言葉、感謝の言葉をもらった。岡山を盛り上げることができたと思う一方で、(表敬訪問などで)休む暇がないほどで驚きました」

 こう田口が語ったように、岡山に帰ってきてからは空前の『岡山学芸館フィーバー』だった。岡山駅に着くと盛大に拍手で迎えられるなど祝福を受けた。学校に帰ってからも連日イベントや取材が入り、サッカー以外の忙しさが彼らを待っていた。

 もちろん、応援されている感謝の気持ちは持ち続けないといけない。だが、いつまでも喧騒の中にいても良くはない。そういう意味では彼らにとって今回の合宿は、その喧騒から離れ、自分自身の現在地、チームとしてのこれからを考えるには絶好の機会だった。

「ある程度できるという手応えもありましたが、まだまだトップとの差はあると感じました。パス練習でもパススピードが遅かったり、チームメイトに指摘されて細かいところでできていない自分がいます」(田口)

 選手権で安定感抜群のプレーを見せて、一気に大会の主役に躍り出た平塚も、改めて上には上がいることを痛感した。

「合宿に来た時は、みんなから『日本一おめでとう』など声をかけてもらったのですが、僕からしたらみんな上手かった。全国には上手い人たちがいっぱいいることは分かっていましたが、一緒にプレーしてみて改めて思った。

 前橋育英の雨野颯真選手は年代別代表にも入っていて、自分と比べてミスが少ないんです。ポロッとこぼしたり、キック一本でもずれないで確実にプレーしているからこそ、周りも信頼する。本当に多くの学びをもらいました」
 
 4日間の合宿の中で流通経済大、日本体育大、U-18日本高校選抜と戦い、強度の高いなかでも田口は持ち前のターンの速さと、ワンタッチプレーの精度を示した。平塚も得意とするキックと安定したキャッチングを見せるなど、持ち味は出すことができた。

「選手権優勝はあくまで岡山学芸館というチームの結果であって、個人の結果ではないことを痛感しました。ここからはもっと個人を磨いていかないといけない。もっと成長したいし、その気持ちより強くなりました」(田口)

「ここにきても『日本一、凄いね』と言ってもらえますが、新チームは別物。僕らの代がしっかりとやっていかないといけない」(平塚)

 最後に田口は、改めて今回の合宿の意義を一言で言い表わしてくれた。

「浮ついていた自分に気づくことができました」

 この気づきこそ、彼らにとっての第一歩。選手権王者の看板にとらわれず、最高学年として経験をもとに地に足をつけて新たなチームを作り、全国に挑んでいく。彼らはその大切さを再認識することができた。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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