「アルコールに依存していた」「母親のうつ病に悩まされた」イングランド代表MFがマンU時代の苦悩を告白

2023年01月20日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「ユナイテッドはすべてにおいて遅れている」

今シーズンからノッティンガム・フォレストでプレーするリンガード。マンチェスター・U時代の最後は精神的に追い込まれていたようだ。(C)Getty Images

 マンチェスター・ユナイテッド時代の苦悩を赤裸々に語った。

 昨夏からノッティンガム・フォレストに在籍するイングランド代表MFジェシー・リンガードが、ポッドキャストの『The Diary Of A CEO』に出演し、知られざるエピソードを披露した。

 現在30歳のリンガードは7歳でマンチェスター・Uのアカデミーに入団し、2011年夏に18歳でプロ契約を締結。その後は何度かローン移籍を経験したものの、昨夏にクラブを退団するまで長きに渡って"赤い悪魔"に在籍した。公式戦には計232試合に出場し、35ゴールをマーク。その間、イングランド代表にも招集され、2018年のロシア・ワールドカップに出場するなど、順風満帆なキャリアを送っていた。

 そんなリンガードだったが、2019年頃から徐々に出番が減り、試合に出場しても思ったようなパフォーマンスができずに、スタンドから罵声を浴びるようになっていく。

 当時の心境を振り返り、リンガードは同番組内で「精神的苦痛を感じていた。痛みを取り除くために何かが必要だった。そして、何とか自分を落ち着かせるために、毎晩寝酒を飲んでいたんだ。改めて振り返ると、何をやっていたんだろうと思う。とにかくいま起きていることを忘れたかったんだ。それが何倍も悪いことに気付かずに……」

 さらに、リンガードは母親の病気にも悩まされていたという。「母はとても酷いうつ病に苦しめられていた。家族だけではとても対処することができず、19年には治療のために入院したんだ。それからは僕が当時11歳だった弟と15歳だった妹の世話をしなければならなくなった。ただ、当時は自分のことで精一杯だったからとても兄弟の望むようなことはしてやれなかった。とにかく精神的に余裕がなかったんだ」
 
 一時は「あんなに罵倒されるぐらいならピッチに立ちたくない」と考える時期もあったようだが、そんな時にサポートしてくれたのが、当時のユナイテッドを率いていたオレ・グンナー・スールシャール監督だったという。ノルウェー人指揮官には個人的な問題も打ち明けて相談に乗ってもらっていたという。

 そんな苦しい精神状態の中でも、「サッカーを辞めようとは一度も思わなかった」というリンガードは、22年夏にプレミアリーグに昇格したばかりのノッティンガム・Fに移籍。新天地ではチームからの愛情をひしひしと感じ、ようやく平穏な生活を取り戻していったようだ。

 そして、チームを去る時に「見送りすらなかった」という古巣に対しては次のように苦言を呈している。

「ユナイテッドは組織がバラバラで各々が好き勝手にやっている。彼らはすべてにおいて遅れをとっているよ。マンチェスター・シティやトッテナムの施設を見れば分かると思うけど、インフラ面でもライバルクラブに何マイルも先を行かれている」

 はたして、最大のスランプを乗り越えたリンガードはリーグ後半戦でユナイテッドに放出を後悔させるような活躍を見せられるだろうか。今後の"リベンジ"に注目だ。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部

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