尚志の右サイドに安藤悠人あり! 主軸に2年生が多いチームできらりと光る韋駄天は「クロスが正確じゃないと縦突破も意味がない」【選手権】

2022年12月29日 安藤隆人

プレミアリーグ参入戦前まではジョーカー的な役割

赤丸球急上昇中の安藤(15番)。尚志の右サイドで異彩を放った。写真:浦正弘

[高校選手権1回戦]尚志 3-0 徳島市立/12月29日/ニッパツ

 3-0の好発進を切った優勝候補の一角、尚志。来季のプレミアリーグ昇格を決めている東北の名門は、2年生がチームの中心に据えた攻撃サッカーを体現している。

 そのなかで、右サイドハーフとしてずば抜けたスピードとファーストタッチの上手さを駆使して、相手を切り裂いていくのが注目の2年生MF、安斎悠人だ。

 12月上旬のプレミアリーグ参入戦前までは、左サイドハーフとして試合の流れを変えるジョーカー的な役割だった安藤。その武器は、左サイドから中央にカットインして精度の高い右足で決定的なパスやシュートを撃てるところにあるが、左サイドでの起用は「少し相手に読まれてしまっている部分があった」と仲村浩二監督が語ったように、3年生のMF吉満迅にポジションを奪われてしまっていた。

 だが、仲村監督は「彼のポテンシャルなら左だけでなく右でも十分にプレーできると思っていた」とプレミアリーグ参入戦前の大学生との練習試合で右サイドハーフに起用すると、そこで彼の突破力が炸裂した。
 
「僕はずっと左しかできない選手だと思っていたので、最初は戸惑いました。でも左より縦に仕掛けやすいですし、縦と見せかけて中に行くなど工夫をすれば、もっとプレーしやすくなるのではないかと思うようになった」

 自分の武器をどう活かせるかを考えたとき、右から縦に抜け出して右足クロスやシュート、中に入っての右アウトサイドを使ったパスなど、プレーの選択肢が広がることを実感できた。大学生との練習試合では、「ワイドに張りすぎると大翔さんの上がるスペースを消してしまうので、なるべくインサイドのポジションをとって、そこから大翔さんとワンツーをして崩したり、中でパスを受けて仕掛けることもできるようになった」と、攻撃的な右サイドバックである鈴木大翔と抜群の連携を見せてチャンスを量産。この活躍が認められて、右サイドハーフとしてスタメン候補に躍り出た。

 プレミアリーグ参入決定戦の帝京長岡戦ではスタメン起用されなかったが、41分に投入されると右からの突破が猛威を奮って、2本のPKを獲得。この2本ともゴールには至らなかったが、安斎が右サイドを制圧したことで流れを引き寄せた結果、78分に逆サイドの吉満が決勝弾を叩き込んで、プレミア昇格を手にした。

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