香川の「記憶にない」ヘッド弾炸裂! ダービー史に残る熱戦を制す――ドルトムント 3-2 シャルケ

2015年11月09日 高橋泰裕(ワールドサッカーダイジェスト)

もどかしい展開を強いられていたチームを救った貴重な先制点。

「最高の状態でダービーを迎えられる」
 
 シャルケとの伝統の「ルール・ダービー」を前日に控えた公式会見でそう語ったのは、ドルトムントのギュンドアンだ。今シーズンのドルトムントは、公式戦でわずか1敗。ブンデスリーガでは首位バイエルンとの勝点5差の2位と、充実の一途を辿っている。
 
 対するシャルケは5位につけているものの、好不調の波が激しく、チームとしての完成度ではドルトムントが明らかに上。試合前のプレスルームでも「ドルトムント優勢」と見る記者がほとんどだった。
 
 両チームのサポーターの歓声と怒号が飛び交うスタジアムの喧騒とは裏腹に、立ち上がりは静かな展開に。ボールを保持したのはドルトムントだったが、正確な散らしでパスワークに、攻撃にリズムをもたらすアンカーのヴァイグルを封じられ、思うようにチャンスを作れない。
 
 この均衡を破る大仕事をやってのけたのが、香川だ。30分、SBギンターのクロスに反応し、本人も「記憶にない」と語るヘディングでゴールネットを揺さぶった。もどかしい展開を強いられていたチームを救う、まさに起死回生のゴールだった。
 
 直後の33分に同点ゴールを許したものの、ドルトムントの勢いは止まらない。43 分、CKにギンターがニアサイドで合わせて追加点を奪ったのだ。
 
 後半はやや前掛かりになったシャルケに対し、ドルトムントはカウンターで対抗。この戦術変更で恩恵を受けたのが、チーム一の快足を誇るFWオーバメヤンだ。47分にDFラインの裏に鋭く抜け出して3点目を奪えば、その後も持ち前のスピードを活かして速攻の先導役となった。
 
 71分にフンテラールのこの試合2点目を許したドルトムントは、さらにホイビェアのシュートがポストを直撃するなど、終盤に再三ピンチを迎える。
 
 しかし、GKビュルキを中心にシャルケの猛攻を凌ぎ切り、3-2で勝利。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、スタジアムは地鳴りのような歓声に包まれ、「GELBE WAND(黄色い壁)」と呼ばれるドルトムントのゴール裏は、飛び跳ねるサポーターの振動で揺れていた。
 
 ダービー史に残る熱戦を制したドルトムント。その余勢を駆り、上昇気流に乗るのは間違いないだろう。
 
現地特派:高橋泰裕(ワールドサッカーダイジェスト)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事