「本田圭佑ロス。でもゼルビアがあって良かった」町田の藤田晋新社長が就任会見で熱く語った“グッドスパイラル”への道筋

2022年12月21日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「まだサッカーに夢中になれる。そういう人をひとりでも増やせるように」

町田の藤田晋代表取締役社長兼CEO(写真右)と上田武蔵代表取締役COO(写真左)。

「ワールドカップロスというか、本田圭佑ロスみたいなのが、今はある」

 株式会社サイバーエージェントの藤田晋代表取締役は、そう語っていた。閉幕したカタール・ワールドカップと、大会を盛り上げた本田圭佑の『ABEMA』での解説を惜しむ偽らざる気持ちだろうが、続けて話したFC町田ゼルビアへの想いも熱かった。

「でも、やっぱりゼルビアがあって良かったという安心感、ホッとした気持ちもあります。まだサッカーに夢中になれる。そういう人をひとりでも増やせるように、良いサッカーをして振り向かせたい」

 2018年から町田のオーナーを務めてきた藤田氏は、今年12月1日をもって同クラブの代表取締役社長兼CEOに就任。記者会見で明かされた経緯には、チーム強化への強い意気込みが如実に表われていた。

「オーナーという立場で応援してきたんですけど、多額の資金を投入してきて、『口は出さない。自由にやっていい』という無責任なことは、もうとても言えない累積の額になってきました。自ら責任を取らなければいけないというのもあり、我々が考える"スピード感"やスケール感というのを、現場と直接伝えなければならないというのがあり、今までよりも監督や強化部と蜜に連係を取って、チームを運営していきたいと思っています」

 そして具体的な経営方針も明確だった。

「ワールドカップも日本代表が勝つと注目後が高まったように、町田ゼルビアが強いことを示さなければ、集客面のあらゆる努力が無駄になってしまう。勝つことを通じて、町田市民、周辺のみなさんを振り向かせる考え方で、勝てるチーム作りを最優先事項に置いております」
 
 勝利のために、まず打った手は黒田剛新監督の招聘だろう。青森山田高を率いて何度も全国優勝を成し遂げた指揮官の「勝つために可能なことはすべて準備する」という言葉を引用して、藤田社長はこうも述べた。

「補強を満足のいくレベルで終わらせなければ、勝つためにすべてやり切ったとは言えないので、現在も補強に力を入れています。今は発表をできていませんが、手応えとしてはかなり上手くいっていると感じています」

 藤田社長は「楽しみなニュースを発表できるので、期待していてください」と新戦力獲得リリースも"予告"。勝利のための準備には余念がない様子で、勝ち続けた先の好循環についても次のように展望した。

「強いからスポンサーがつくし、強いからファンが見にくるし、グッズが売れる。そのグッドスパイラルに乗せるところにいきつかせないと。とにかく、勝てないといけないということは、クラブの共通認識にしたい。それは強化部も監督も分かっている」

 2023年シーズンの目標はJ2優勝。さらにその先は「感覚的には鹿島や浦和のように、サッカーでイメージアップして、全国的にかっこ良いなと思われるところまで持っていきたい」(藤田社長)。

 そのために重要なのは、まずのは戦力充実だろう。藤田社長が言った「楽しみなニュース」を期待して待ちたい。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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