「傷に塩を塗る」エムバペへの大ブーイング…。アルゼンチン・サポーターの蛮行に心が痛んだ

2022年12月19日 白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

耳を疑ったのは試合後の表彰式だった

得点王のトロフィーを受け取るエムバペ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

【カタール・ワールドカップ決勝】アルゼンチン 3-3(PK4-2)フランス/現地時間12月18日/ルサイル・スタジアム
 
 PK戦の末にアルゼンチン代表の優勝で幕を閉じたカタール・ワールドカップ決勝。耳を疑ったのは、試合後の表彰式だった。
 
 ベストヤングプレーヤー賞にエンソ・フェルナンデス、ベストGK賞にエミリアーノ・マルティネスが選ばれると、会場からは大きな拍手と歓声が飛んだ。
 
 しかし、得点王としてキリアン・エムバペの名前がコールされると、スタンドから大きなブーイングが飛ぶ。主にアルゼンチン・サポーターが陣取るスタンドからだった。
 
 エムバペはこのファイナルでPK2本とスーパーボレー1つを決め、1966年大会のジェフ・ハースト(元イングランド代表)以来となる史上2人目の決勝ハットトリックを達成。試合前の段階では5ゴールで並んでいたリオネル・メッシがこの日は2ゴールだったため、計8得点で単独トップスコアラーとなった。
 

 その直後に会場で発表された大会MVPはもちろんメッシ。アルゼンチン・サポーターとしては、2点のリードをあっという間に吹き消して36年ぶりの世界制覇を阻む寸前まで母国を追い込み、そして最終的にメッシの優勝、MVP、得点王という「3冠」を阻んだ格好となったエムバペが妬ましかったのだろう。
 
 しかし、ただでさえW杯ファイナルという大舞台で敗れ、明らかに落ちんでいたエムバペに心無いブーイングを浴びせるというのは、いわば傷口に塩を塗る行為。間違いなくスポーツマンシップに反している。
 
 カタールW杯におけるアルゼンチン・サポーターは、人数も熱量も声量も間違いなく大会ナンバー1で個人的に感銘を受けていたし、36年ぶりの世界制覇で大興奮したのも理解できる。しかし、エムバペに対するブーイングは決して許されるものではない。完全に蛮行だ。非常に残念でならないし、心が痛むシーンだった。
 
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

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