「本当のエース」を目ざす堂安律、「怪物になりたい」田中碧…叶わなかったベスト8へ、東京五輪世代に託されたもの【W杯】

2022年12月06日 元川悦子

脳裏に刻まれた敗戦

堂安はドイツ戦とスペイン戦で得点。大舞台での勝負強さを見せつけた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

[カタール・ワールドカップ ラウンド16]日本1(1PK3)1クロアチア/12月5日/アル・ジャヌーブ・スタジアム

「明日は最高の試合と最高の結果を得られるように、そして、日本サッカーの歴史に黄金の1ページを刻むんだという意気込みで、必ず勝ちたいなと思います」

 カタール・ワールドカップ(W杯)ラウンド16のクロアチア戦を前に、長友佑都(FC東京)が語気を強めた。

 そして、日本代表は史上初のベスト8にあと一歩と迫った。前半終了間際の43分には、長年の課題だったリスタートから前田大然(セルティック)が先制。今大会初めてリードを得て、後半に突入した。

 そこまではシナリオ通りだったが、老獪なクロアチアは1本のチャンスを仕留めてくる。吉田麻也(シャルケ)と南野拓実(モナコ)の元同僚であるデヤン・ロブレン(ゼニト)のクロスを、イバン・ペリシッチ(トッテナム)に決められ、1-1に。

 そこからは膠着状態に陥り、延長の末、PK戦に突入。そこで日本が立て続けに失敗。4度目となる8強への挑戦も結実せずに、日本のカタールW杯は幕を閉じた。

「後輩たちが新しい景色、未来を見せてくれたと思う。日本サッカーは確実に世界でも戦えるなと、僕は自信を持って言える」

 36歳の長友は気丈にコメントしたが、彼らに8強の景色を見せられなかった若い世代のほうは悔しさがひとしおだ。
 
 その筆頭が冨安健洋(アーセナル)。2019年アジアカップからレギュラーを掴み、吉田や長友らと長く最終ラインを形成しながら、重要なクロアチア戦で失点に絡むというミスをおかしてしまったからだ。

「僕個人のパフォーマンスが本当に良くなかったし、チームに迷惑をかけた。今は自分に苛立ちしかない。感情の整理をつけるのが大変。今は先のことを考える気持ちになれないですね」と、日頃は冷静な彼が怒りに満ちた表情で厳しい自己評価を下したのだ。

 自分自身への不甲斐なさを口にしたのは、近未来の守備リーダーだけではない。先発起用されながらゴールを奪えなかった堂安律(フライブルク)、ジョーカーとして流れを変える役割を託されながら、日本を勝たせられなかった三笘薫(ブライトン)も不完全燃焼感を露にしていた。

「自分が感じたのは無力さ。PK戦の時に自分がピッチにいられなかったのが無力ですし、本当にエースになりたいならば、外しても決めても自分のおかげと思われる人になりたい」と堂安が言えば、三笘も「チームを勝たせられる存在に代表でもならないといけない。ワールドカップで活躍できる選手が良い選手だし、ベスト8に導ける選手だと思う。それを4年間でもう一度、目ざそうと思っています」と溢れる涙を拭いながら毅然と語っていた。

 そして、延長後半からピッチに立った田中碧(デュッセルドルフ)も「ワールドカップには化け物しかいないですけど、次は自分が化け物になって戻って来たい。優勝したいなと思います」と語気を強めた。

 それだけ東京五輪世代にとって今回のクロアチア戦のPK負けは、脳裏に焼き付いて離れない大きな出来事になったのである。

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