ラッシュフォードの復調を喜ぶ英代表OBが“決勝Tからが真の勝負”と語る理由は? 8強入りをかけセネガルと対戦[現地発]【W杯】

2022年12月05日 田嶋コウスケ

FKで鮮やか先制弾、ダメ押しの3点目も

GS3戦目のウェールズ戦は2得点と躍動したラッシュフォード。(C)Getty Images

 イングランド代表がグループステージを突破した。

 カタール・ワールドカップのグループB、最終節のウェールズ戦は3-0で快勝。2勝1分で勝点7を獲得し、グループ首位で決勝トーナメント進出を決めた。試合後、イングランド代表のOBたちも頬を緩めて勝利と突破を喜んだ。

 ウェールズ戦で中継番組の司会を務めたガリー・リネカーが「素晴らしいパフォーマンスだった。マーカス・ラッシュフォードが2ゴール、フィル・フォデンが1ゴールを決めた。これまで先発を外れてきたラッシュフォードとフォデンがスタメンに入り、この2人が大きな違いを生んだ。チームとしても非常に好印象のパフォーマンスだった」と切り出すと、元イングランド代表DFリオ・ファーディナンドは、3点を奪った後半のパフォーマンスを褒めながら次のように語った。

「イングランド代表は、どのようなプレーをすべきか。後半は、我々の目ざしているプレーができていたと思う。プレス、エネルギー、アグレッシブさ、そしてボールを持っていないところでの積極性──。これらのポイントを試合のなかで上手く出し、勝利に結びつけることができた」

 ウェールズ戦で大きくクローズアップされたのが、殊勲の2ゴールを決めたラッシュフォードである。50分に直接FKから鮮やかに先制ゴールを決めると、68分にも右サイドから鋭いドリブルでダメ押しとなる3点目を決めた。

 ウェールズ戦のMOMに輝いたラッシュフォードだが、しかし、ここまで決して順風満帆だったわけではない。怪我の影響もあり所属先のマンチェスター・ユナイテッドでは出番が減り、イングランド代表でも存在感が薄れていた。

 大舞台のピッチに立つまで、イングランド代表での出場は、21年7月に行なわれた欧州選手権ファイナルのイタリア戦が最後である。PKを外して一部のサポーターから批判を浴びたユーロ決勝から、カタールW杯まで1年半にわたり、代表での出場歴がなかったのだ。
 
 W杯のメンバー選考に際しても、ラッシュフォードは当落線上、もしくは選外にいると見られていた。しかし今季、マンチェスター・Uを率いるエリック・テン・ハーフ監督のもとで復調。好調さを買われて、滑り込みで代表入りした。

 90年代後半にイングランド代表のエースストライカーとして活躍したアラン・シアラーが「ラッシュフォードの活躍は目覚ましかった。これで今大会3ゴール。W杯得点王も狙える位置につけている」と語ると、リネカーも同調し、次のように述べた。

「昨季のラッシュフォードはベストパフォーマンスを見せられず、辛い時間を過ごした。だが今季、マンチェスター・ユナイテッドで先発メンバーに戻ったことは本当に大きい。おかげで見事なまでに復調した。ウェールズ戦は、ラッシュフォードの怖さが実によく出ていた。スピード感溢れる動きで、積極的に仕掛けていたからね」

 ファーディナンドも2人の言葉にうなずき、次のように話す。

「ラッシュフォードは時折笑顔を見せながら、自信を持ってプレーしている。これまではそんな様子に見えなかったし、正直言ってハッピーにも見えなかった。もともと彼は、相手に決定的な打撃を与えられるアタッカーだ。ウェールズ戦も、マッチアップするサイドバックが怖がってプレーしていた。強豪国の選手であっても、今のラッシュフォードなら驚くと思うよ。それほど素晴らしい」

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