【ナビスコカップ決勝】鹿島OB中田浩二の目/今回の優勝は、強さを取り戻すための“序章”

2015年10月31日 サッカーダイジェスト編集部

球際や気迫で上回り、CKから先制点。“鹿島らしさ”が随所に出た。

柴崎(20番)や小笠原のボランチコンビを筆頭に、鹿島は序盤から球際や気迫でG大阪を圧倒。その部分は試合を優勢に進める大きなポイントになった。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 まずは選手たちに「おめでとう!」と言いたい。"鹿島らしさ"が随所に出た素晴らしいゲームだったし、スタンドから見ていて選手たちが本当に頼もしく感じた。

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 リーグ戦ではここ何試合かゲームの入りが良くなかったけど、今日はみんなの気持ちがいつも以上にみなぎっているのを感じた。(金崎)夢生は全力でファイトしていたし、彼が前線で相手DFを背負いながらタメを作ってくれたからこそ、最終ラインを上げることができた。裏に抜け出して持ち味を発揮した(赤﨑)秀平、パトリックを抑えた(昌子)源も良かった。選手それぞれが自分の役割をまっとうしたと思う。
 
 ガンバは相手の動きを見てゲームを展開する「リアクションタイプ」。試合のなかで、徐々にペースを上げていくチームだが、今日は鹿島が前半から飛ばして、アジャストさせなかった。その勢いの差は、球際でのパフォーマンスにも影響していたと思う。例えば、(柴崎)岳がヤット(遠藤保仁)に思い切り当たりに行ったシーンがあったように、個々がガンバの選手に対して激しくプレッシャーをかけていたし、球際や気迫で上回ったのが、試合を優勢に進める大きなポイントになった。
 
 正直に言えば、前半にあれだけ押し込んで、決定機も何回かあったなかで、無得点で折り返した時は、ゲーム展開的にどうなるのかなと少し心配もあった。ただ、後半のスタートも前半の勢いそのままにプレーできていたので、逆にゴールは時間の問題だという確信に変わった。
 
 実際、60分にCKから先制点が生まれたが、チームとしてセットプレーの時にもしっかりと集中力を保てていた。ニアポスト付近にいたパトリックのところで撥ね返したかったガンバに対し、(山本)脩斗がニアで囮になって、中央へ走り込んだフリーのファン・ソッコがヘディングシュート。キッカーの(小笠原)満男も良いところを狙ったし、ファン・ソッコの動きも良かったけど、周りの動きも素晴らしかった。ニアとファー、そして真ん中と入り方のバランスが効いていたと思う。鹿島が優勝していた時は、ああいったセットプレーで点を取っていたから、あの頃を彷彿させるゴールだったと言ってもいいんじゃないかな。

次ページ中盤の攻防を制した(小笠原)満男は、「まだまだできる」と改めて感じた。

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