最下位チームが“時間を殺す”意図を正確に捉えるべきだった。ターンオーバーなど全く問題ではない。メンバー変更は当然【W杯】

2022年11月28日 清水英斗

試合が始まった瞬間に、嫌な予感はあった

日本はコスタリカに完封負けを喫した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

[カタール・ワールドカップ・グループステージ第2戦]日本 0-1 コスタリカ/11月27日/アフマド・ビン・アリ・スタジアム

 スペインに0-7でボロ負けしたコスタリカは、勝たなければならないから、アグレッシブに前へ出てくるはず。日本はその裏を突ければいい――。

 誰だ? そんなことを言っていたのは? 筆者だ。解説者だ。あるいは選手自身も同じことを言っていた。勝点3を焦るコスタリカの隙を突いて、勝とうと。

 ところが、現実は完全に逆だった。81分に決勝点。勝点3を焦る日本の隙を突き、コスタリカが勝ってしまったのだ。実際のところ、彼らが前に出てきたのは最後の10分だけ。相手ペナルティエリア内のタッチ数がわずか2回で勝利を収めたのは、1966年以降のワールドカップでは史上最少とのこと。恐ろしい効率、試合巧者。コスタリカに焦りなど全くなかった。

 ルイス・フェルナンド・スアレス監督は、日本のメディアに精通していたのだろうか。日本人はスペイン戦を前に、勝点6を取らなければならないと囁き合っている。コスタリカではなく、スペインを見ながら第2戦に臨もうとしている。そして、「コスタリカは焦って前に出てくるはず」と決めつけている。
【W杯PHOTO】日本 0-1 コスタリカ|終始ボールを握るも得点奪えず…一瞬のスキを突かれ失点し完封負けを喫する
 だから勝負を急ぐ必要はない。残り15分まで0-0なら、焦るのは我々ではなく、日本のほうだと。それが故の前半45分、後半30分までの塩試合。見透かされていた気がしてならない。

 試合が始まった瞬間に、嫌な予感はあった。コスタリカの戦い方が、想定とはあまりにも違いすぎたからだ。

 彼らが守備的な5-4-1を敷いたことだけでなく、意外だったのは、本来はセンターフォワードのジョエル・キャンベルを左サイドで起用したことだ。懐が深くてキープ力があり、コスタリカの起点になる選手だけに、ポイントは吉田麻也や板倉滉と遠藤航が挟んで潰すことだと思っていたが、まさかのサイド逃し。酒井宏樹と冨安健洋を欠き、山根視来の出場が見込まれた場所にエースFWを当ててきた。

 個の部分では大きな問題は無かったが、キャンベルがサイドに出てきたことで、挟んで対応するのが難しくなった。山根の前にいる堂安律は、相手の3バックの左側へ、前へ出て寄せるタイミングを計っているので、山根と連係しづらい。後半は対応を修正して挟み込む場面が増えたが、特に前半は、1対1では無敵のキープ力を誇るキャンベルに、サイドで飄々と起点を作らせてしまった。
 

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