【日本代表 26の肖像|遠藤航】“ロシアW杯出番なし”から“日本の心臓”へ。成否のカギを握るデュエル王

2022年11月19日 元川悦子

4年前は「誰も僕に興味なかった(苦笑)」

脳震盪の影響が心配された遠藤だが、無事に代表に合流。ドイツとの初戦ではピッチに立てるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 いよいよ開幕が迫るカタール・ワールドカップ。森保一監督が率いる日本代表は、いかなる戦いを見せるか。ベスト8以上を目ざすサムライブルー、26の肖像。今回はMF遠藤航(シュツットガルト)だ。

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 2018年のロシア・ワールドカップは出番なし。だが今では「日本代表の心臓」へと飛躍した遠藤航。彼ほど森保ジャパンの4年間で劇的な変貌を遂げた選手もいないだろう。

「(前回大会の直前合宿地の)ゼーフェルトでは、誰も僕に興味なかったですからね(苦笑)。ロシアには行ったけど、出られない悔しさを味わった。そこでハセさん(長谷部誠/フランクフルト)が代表引退されて『じゃあ誰がボランチやるんだ』って話になって、自分が名乗り出て定位置を勝ち取り、不安を一掃してやろうと思ったのが4年前です。

 その時期にシント=トロイデンへ行って、1年後にシュツットガルトに来たけど、自分が思い描いたカタール・ワールドカップに出るという目標を達成しつつあるのは嬉しい。でもまだ試合に出たわけじゃないし、結果を残したわけじゃない。ここからが本番です」

 9月の欧州遠征時、遠藤はそう語って目を輝かせていた。

 確かに、森保体制初陣となった2018年9月のコスタリカ戦の際、遠藤は欧州での一歩を踏み出したばかりだった。湘南や浦和では3バックの一角で起用されることが多く、ロシアW杯の代表では右SBのサブに入ることもあったが、「ボランチで勝負したい」という強い決意を持って、ベルギーに赴いたのだ。
 
 その言葉通り、新たな環境で結果を出し、2019年夏には当時ドイツ2部のシュツットガルトへ移籍。この頃の代表は柴崎岳(レガネス)と遠藤が鉄板ボランチを形成していたが、W杯2次予選の序盤は遠藤が新天地で試合に出られなかったこともあり、コンディションや試合勘が不安視された。

 けれども、本人は「いろんな壁に当たりながら、それを克服していって今がある。今回の出られない経験もまた経験」とまったく動じることなく現状と向き合っていた。

 4児の父親らしい落ち着きと冷静なスタンスが奏功し、11月以降はシュツットガルトで定位置を確保。1部昇格の原動力となる。翌20-21シーズンからはキャプテンに就任。デュエル勝利数トップに輝くという偉業も達成する。

 ドイツに赴いて1年半。遠藤は世界に通じるボランチに上り詰め、日本代表の絶対的主軸の座を射止めたのである。

【W杯PHOTO】いよいよ開幕!カタールに集結する各国サポーター!
 

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