【消えた逸材】若くしてイングランド代表デビューを飾った「リバプールのカフー」 その後の波乱万丈なサッカー人生とは?

2023年01月11日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

ジェラードとキャラガーに憧れた少年

20代前半の頃のフラナガンは、カフーから「世界最高峰のSBになるために必要な資質をすべて備えている」と激賞される程の活躍を見せていた。(C)Getty Images

 2022年10月18日、かつて「リバプールの至宝」と謳われた逸材が静かにユニホームを脱いだ。

 ジョン・フラナガン――。11年4月に弱冠18歳で公式戦デビューを飾ったSBは、リバプールがプレミアリーグで優勝争いを演じた13-14シーズンにレギュラーとして活躍。最終的にチームは2位に終わったものの、目を見張るパフォーマンスを披露したフラナガンは一気に声価を高めた。

 攻撃参加を持ち味とするプレースタイルから付けられた愛称は、「リバプールのカフー」。ブラジルのそのレジェンド同様の輝かしいキャリアを築くことが期待された若者は、しかし慢性的な膝の故障に苦しみ、29歳の若さで引退を余儀なくされたのだった。
 
 フラナガンは幼い頃から生粋のリバプールサポーターだった。実家はアンフィールドからわずか180メートルの距離にあり、リバプールがゴールを決める度に、地鳴りのような歓声が家の中まで響いていたという。

 そんな環境で育ったジョン少年がサッカー選手を志すようになったのはごく自然な流れと言えた。クラブレジェンドであるスティーブン・ジェラードとジェイミー・キャラガーに憧れた少年は、11歳でリバプールのユースアカデミーに加入。当初はそこまで注目されるタレントではなかったものの、努力を重ねてめきめきと頭角を現わし、18歳でトップデビューを飾った。

 当時トップチームを指揮していたケニー・ダルグリッシュは、「ジョンのような選手がアカデミーで育ったことは本当に心強い。育成機関がうまく機能している証だからね」と胸を張った。
 

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