現地ベテラン記者が香川真司を密着レポート「ドルトムントは来シーズン、CLの舞台へ返り咲く」

2015年10月22日 マルクス・バーク

ある観点から見れば、ELのガバラ戦には興味深い要素が…。

政治的な問題から、ムヒタリアンをELのガバラ戦で招集外に。ドルトムントが下したこの判断は、はたしてベストだったのか。(C)Getty Images

 ドルトムントはドイツ勢として初めて欧州カップ戦を制したクラブである。1965-66シーズンのカップウィナーズ・カップ決勝でリバプールを撃破し、優勝トロフィーを掲げた。96-97シーズンには、ユベントスを下してチャンピオンズ・リーグ(CL)優勝を成し遂げている。
 
 ふたつのコンペティションで頂点に立ったドルトムントに唯一欠けている国際タイトルが、ヨーロッパリーグ(EL)である。そうした背景があるだけに、CLに比べてステータスの低いELでも、彼らは全力を注いでいる。実際、2-1で勝利したELグループステージ1節のクラスノダール戦後、マルコ・ロイスは、「ファイナル進出が僕らの目標だ」と言っていた。ちなみに、これまでカップウィナーズ・カップ、CL、ELをすべて制したのは、バイエルン、バルセロナ、アヤックス、ユベントス、チェルシーの5クラブしかない。
 
 クラスノダール戦、1-1のドローで終わった2節のPAOK戦を経て、10月22日に行なわれる3節でドルトムントは、敵地アゼルバイジャンでガバラと戦う。首都バクーに本拠を置くその小クラブはドイツでは無名の存在であり、格下なのは間違いない。
 
 ただし、政治的な観点から見れば、この一戦には興味深い要素が含まれている。大きな注目を集めているのが、ドルトムントのMFヘンリク・ムヒタリアン。アゼルバイジャンと抗争している(現在は停戦中)隣国のアルメニア出身なうえに、かつてその紛争地域を訪れた影響で、ELの組分けが決まった当初からビザが支給されない可能性が取り沙汰されていた。
 
 今年6月にバクーで開催されたヨーロッパ競技大会(ヨーロッパオリンピック委員会が主催するスポーツ大会)には、アルメニア人選手が参加していたものの、ドルトムントは不測の事態を避けるべく、ムヒタリアンを招集メンバーから外した。この件については、「選手を守る責任があるため」と説明している。
 
 その意見は、もちろん理解できる。ただ一方で、ドルトムントが政治的問題から目を背けたのは考えものである。

次ページバイエルンに次ぐリーグ2位に食い込む可能性は低くない。

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