大迫勇也、原口元気が落選…4年前の悲劇の生き証人、柴崎岳は森保ジャパンに何をもたらせるか

2022年11月14日 元川悦子

託される役割は少なくない

12日にドーハ入りした柴崎。最後のテストマッチ、カナダ戦で出場のチャンスがあれば、スタメン奪取に向けてアピールしたい。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 欧州組第一号として、11月12日にドーハ入りし、13日の練習から合流したのが、2018年ロシア・ワールドカップ(W杯)に続く2度目の大舞台に挑む柴崎岳(レガネス)だ。

 この日の彼は、長友佑都(FC東京)らと率先して先頭を走り、仲間をけん引。フィジカル、ボール回し、3対3+フリーマンなど全メニューを精力的に消化した。

 時には同じスペインで戦う久保建英(レアル・ソシエダ)と談笑する姿も見られ、柴崎なりにチームを盛り上げようと努力している様子がうかがえた。

 4年前の16強戦士の大迫勇也(神戸)、原口元気(ウニオン・ベルリン)が落選し、中盤より前に「ロストフの悲劇」の経験者がいなくなるなか、今回の柴崎に託される役割は少なくない。世界が注目する大舞台で、強豪に勝ってベスト8の壁を破ることの難しさを、若くフレッシュな集団にしっかりと伝えていくことが最初のタスクだ。

 とはいえ、現時点で柴崎はボランチの控えと見られている。2試合が組まれた9月シリーズの初戦、アメリカ戦に先発した遠藤航(シュツットガルト)と守田英正(スポルティング・リスボン)がファーストチョイスで、柴崎は23日の初戦ドイツ戦はベンチスタートが濃厚か。
 
 ただ、遠藤が8日のヘルタ・ベルリン戦で脳震とうを起こし、田中碧(デュッセルドルフ)は13日の全体練習に合流していない。その現状を踏まえると、17日のカナダ戦は守田・柴崎コンビで挑む可能性は小さくない。新たな連係を構築し、自身の存在価値をアピールする絶好のチャンスとなるのだ。

 実際、4年前も開幕直前のパラグアイ戦で効果的な仕事を見せたことで、本番でのレギュラーを確保した過去がある。その流れを再現できれば、まさに理想的である。

「僕が出るとしたらある程度、攻撃的に行きたい局面が多いと思うので、前との関わりを多くして、飛び出しだったり、攻撃で前のほうに出ていくという個人の良さを出していきたいと思っています」

 本人は出番のなかったアメリカ戦後にこう語っていた。が、田中とボランチを組んで戦った続くエクアドル戦では、必ずしも強みを出せたとは言えない部分があった。その反省を踏まえ、今一度、本来の自分を取り戻す作業から始めなければいけない。
 

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