「対策されても点を取って勝つ!」いまだ進化を続ける昌平、唯一無二の目標である“全国初制覇”へ視界は良好【選手権】

2022年11月14日 河野正

先制後、危なげなく1-0で勝ち切る

エースMFの荒井(右)を筆頭に、今季も昌平は攻守にタレントがひしめく。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

 第101回全国高校サッカー選手権埼玉大会は11月13日、NACK5スタジアムで昌平と成徳深谷による初顔合わせの決勝が行なわれ、昌平が1-0で勝って2年ぶり5度目の優勝を飾った。私立校で5度の選手権出場は、埼玉では武南の最多14度に次ぐ記録となった。両校は6月の全国高校総体(インターハイ)予選決勝でも対戦し、昌平が2-1で勝っている。

 U-16日本代表の右SB上原悠都(1年)を怪我で欠くなど、本来の陣容から2人を入れ替えた昌平だが、力強いドリブルと速くて正確なパスを組み合わせて敵陣に進出。序盤から両外と中央を厳しく攻め立て、惜しいシュートを何本も放った。

 左MFで起用された今大会初出場の大谷湊斗(1年)が前半7分、ボランチの土谷飛雅(2年)が前半9分と11分、決勝ではボランチを担当した長準喜(2年)が前半27分、いずれも決定的なシュートを放ったが、すべて素早く身体を寄せた相手DFにブロックされてしまう。36分、来季のFC東京加入が内定している右MF荒井悠汰(3年)の右クロスを鄭志錫(1年)が頭で合わせたが、わずかにバーの上を通過。39分の荒井の一撃もバーを直撃した。

 後半10分には大谷のシュートがブロックされ、跳ね返ったボールを土谷が狙ったが、これもわずかに左へ抜けていくなど、優位に立ちながらもなかなかゴールを割れないでいた。

 そんなこう着状態だった17分、左SB武村圭悟(3年)の左クロスはクリアされたが、こぼれ球を抜け目なく拾った大谷がマーカーを切り返しでかわして左足シュート。相手DFに当たってゴールに吸い込まれ、これが決勝点となった。
 

 スタジアムに到着してから先発を告げられたという大谷は、「めちゃくちゃ緊張しましたが、得点できて嬉しかった。ドリブルで仕掛けるのが自分の強み。全国大会では東山(京都)と戦いたい」と兄・彩斗のいる強豪との対戦を望む。現在暫定首位の埼玉県S1リーグでは、セカンドチームの主力として活躍中だ。

 ここまでGK木村航大、CB増子颯竜(ともに3年)らを中心とする堅陣で初の決勝に駆け上がった成徳深谷は、木村の好守や鋭い出足のシュートブロックなど持ち味を存分に発揮。しかしロングスローを含む得意のセットプレーの機会が少なく、CKが3本で好位置からのFKも1度だけだった。就任20年目の為谷洋介監督は「CKやスローインにさせてもらえず、準備してきたセットプレーを出し切れなかった」と攻め手を欠いたことを敗因に挙げた。

 決勝点を奪った後の昌平は、加点する絶好機こそ作れなかったが、メンバーをひとりも代えずに1-0で逃げ切った。

【選手権埼玉県決勝 PHOTO】昌平1-0成徳深谷|タレント軍団の昌平が成徳深谷に競り勝ち全国大会へ出場決定!

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