【中澤佑二が語る中村俊輔】俊が居残りで練習していたら、僕もやる。モチベーションを高めてくれる存在だった

2022年11月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

スイッチがずっと点灯している印象

中澤氏(左)にとって、俊輔(右)は頼れるチームメイトであり、ライバルでもあったという。「自分にないものを持っている選手」と語る。(C)SOCCER DIGEST

 かつて共に戦い、敵として激しく争った男たちが稀代のファンタジスタを語りつくす――サッカーダイジェスト渾身の一冊『中村俊輔 引退特集号』に戦友が寄せた"熱き言葉"。本稿では中澤佑二氏のメッセージをお届けする。

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 去年に一度、俊と食事に行ったんです。その時に「調子どうなの?」と訊いたら、「ちょっと足首が痛い」と。マリノスにいた頃からそう言っていたから、たぶん、ずっと痛かったはず。怪我とどう付き合うかを強く意識していると感じ取れました。特に俊は足首をすごく大事にするタイプ。大変だったと思います。

 僕もキャリアの最後は膝の痛みに悩まされましたが、俊には特にアドバイスはしませんでした。そもそも俊にアドバイスをしたことなんてないし、する必要もない。ああしたほうがいいよとか、自分からは言わない。恐れ多いですよ(笑)。

 僕が高校の頃から、俊が凄い選手だと認識していました。プロになって、五輪代表チームの合宿で一緒になって、改めて上手いなと痛感。Jで対戦した時は目の前でループを決められたり、スルーパスを通されたり。もう、凄いな、しか思わなかった。
 
 俊はずっとサッカーのことを考えていますよね。僕もサッカーに対してはストイックだと自負していましたけど、それ以上だった。いろんな情報を得て、すぐにグラウンドで確認する。寝る時以外は、ずっとオンの状態。もしかしたら、寝ている時もイメージしていたかも。スイッチがずっと点灯している印象ですね。

 代表の合宿ではよく同部屋になって、サッカーの話をしていました。「ボンバーはどう思う?」って、わりと守備の話が多かったかな。俊は自分のテクニックを大事にしつつ、チームの規律をしっかり守って、チームメイトにもすごく気を遣うから、僕がやりやすいようにと考えてくれていたんだと思います。

 俊のセットプレーから僕のヘディングシュートという得点パターンは、僕からすれば合わせてもらっていただけ。ここに走ってと言われて走ると、必ずピンポイントでボールが来ますから。
 

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