【プレミア現地コラム】「愛」に導かれたアラダイスのサンダーランド挑戦

2015年10月21日 山中忍

最下位に沈むチームを「過去最高の職場」と言い切る。

辞任したアドフォカートの後釜としてサンダーランドの新監督に就任したアラダイス。最下位に沈むチームを立て直せるか、「残留請負人」の腕の見せ所だ。(C)Getty Images

 10月9日にサンダーランドの新監督に就任したサム・サラダイス。巨漢で濁声の元DFには不似合いだが、新任地でのキーワードを選ぶならば「愛」になるだろう。
 
 そもそも、「病み付きになる麻薬のようなもの」と認める現場への愛情があればこその就任だ。昨シーズンは土壇場でプレミアリーグ残留を決めたサンダーランドは、今シーズンも開幕から勝星のない降格の最有力候補(8節終了時点で0勝3分け5敗の19位)。さしもの「残留請負人」も、オファーを断るのではないかと言われていた。
 
 ところが、当人は「過去最高の職場だ」とまで言い切る。その理由の1つが、「愛される環境」だ。昨シーズンまで率いた前任地ウェストハムでは、プレミア復帰の立役者でありながら、堅守速攻志向がファンの不評を買い、結局は職を追われた。07年5月から08年1月まで指揮したニューカッスルでも同じ境遇を味わっている。
 
 その点、サンダーランドでは「気持ちの良いものだ」と語る通り、ファンの歓迎を実感できている。
 
 人気のファンジン『ア・ラブ・シュープリーム(至上の愛)』でも、隣町の宿敵ニューカッスルの元監督でありながら、「ようこそ」3連発で就任が歓迎された。

次ページ見た目は無骨でも残留という美しい結末のラブストーリー。

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