【三浦泰年の情熱地泰】スポーツ紙の1面を飾った「カズダンス」!怠らない準備と彼の人柄が呼び起こす歓喜の輪

2022年11月02日 三浦泰年

カズのゴールは「もってる」という言葉で済ませてはいけない

カズが5年半ぶりのゴールを決めた。会場は大いに盛り上がった。写真:ヤナガワゴーッ!

「カズダンス」を見ることができた。

 良い週末、日曜日になった。

 ひとつの勝利のために、いったいどれだけの人がどれだけ努力をしているのか。クラブに関わる全ての人に支えられ助けてもらい、ようやくひとつの事が達成出来るのであろうが、55歳の現役選手がJFLというJリーグではないアマチュアリーグとはいえ、今回達成したことは並大抵のことではない。日本の400万人というサッカー人口の中でプロ契約選手は1万人と聞くが、そのプロで構成されるクラブでのカズのプレーは、ゴールは「もってる」という言葉で済ませてはいけない。

 試合に出場するための準備と努力が「もってる」に繋がり、あのPKとなる。出場後、10秒でコーナキックから相手のハンドによりPKを獲得。

 出場して1分後にゴールを決める。

 ウォーミングアップではボールの使用は禁止。後半39分に投入されるまで、試合開始から84分間は、いつ出場しても良いように身体と頭を試合出場のイメージを持ち続ける。与えられた時間と与えられた要求に応えるためにだ。
 
 そして、この試合のファーストタッチはPKを右上に蹴り、ゴールネットを揺らした。これが、この日のファーストプレーとなった。それをしっかり決めるのがカズ。

 そして周りが彼に迷いなくキッカーを任せられるのは、彼がカズであることだけではなく、彼がいつもしっかり準備をしていることを目の前で見ているからこそだ。

 そして彼の人柄が、他の選手たちのカズに決めて欲しいという思いに繋がり、それが証明された瞬間、カズダンスを囲む嬉しそうなチームメイトとベンチから駆け寄るサブ選手、スタッフ、コーチの顔を見ることができた。

 試合の喜びは一瞬で去り、次の試合に頭を悩ませる。が監督の仕事ではあるが、この日のシーンはきっとこの先も記憶に残る一瞬になるのであろう。

 シーズンは残り3試合。

 まだ残り試合がある中でチームのことを綴るのは本意ではないが、この「カズダンス」、彼の得点できっと沢山の人が勇気をもらい、幸せを感じ、明日への活力となり、また今週、月曜日から一所懸命やるぞーという人が沢山いるのではないかと思い、冒頭でチームの事を書かせてもらった。
 

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