劣勢のクラシコでも一瞬で違いを作り出したバルサのスペイン代表ペドリ。森保ジャパンはこの19歳を抑え込めるのか【現地発】

2022年10月17日 江國森(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)

日本の中盤にはボール奪取スキルの高い人材が豊富だが

やや元気がなかったクラシコでもチャンスを創出したペドリ(手前)。(C)Getty Images

[ラ・リーガ第9節]レアル・マドリー 3-1 バルセロナ/10月16日/サンティアゴ・ベルナベウ

 普段より、ややおとなしかった印象は否めない。それでも、やはりペドリは違いを作り出せる存在だった。

 宿敵レアル・マドリーに1-3で敗れたクラシコで、バルセロナのMFペドリは左のインサイドハーフで出場。右のインサイドハーフにガビでなくフレンキー・デ・ヨングが入ったこともあり、通常よりもやや高い位置でプレーした。

 印象的だったのは、ボール奪取能力に長けたマドリーのルカ・モドリッチやトニ・クロースが、ペドリがボールを持った際には、それほどプレスを掛けなかった点だ。ターンや相手の逆をとるフェイントに優れているため、飛び込んでかわされ、守備ブロックに穴を空けるのを嫌がったのだろう。もちろん、自由にさせないように目を光らせ、細心の注意を払ってはいた。

 それでも、この19歳は少しでもスペースと時間があれば、決定機を作り出せる。例えば、1点をリードされて迎えた25分のプレーだ。ウスマンヌ・デンベレとのワンツーからバイタルエリアでドリブルを仕掛けて敵を引き付けると、右サイドのラフィーニャに展開。このブラジル代表MFのグラウンダーのクロスに、エースのロベルト・レバンドフスキがファーサイドで合わせるも枠に収められず、同点の絶好機を逃した。

【動画】ワンツーから見事な展開。ペドリを起点に作り出したバルサの決定機
 アンカーのセルヒオ・ブスケッツが穴となり、バルサの中盤は劣勢を強いられた。疲れなのか、ペドリ自身もやや身体が重そうで、ベストな状態ではなかった。それでも、局面を変えるプレーができるのがこの19歳なのだ。

 カタール・ワールドカップで、日本代表はこのペドリを擁するスペイン代表と対戦する。グループステージ第3戦とあって、状況によって出場する顔ぶれもどうなるか分からないが、バルサの8番をどう抑え込むかは重要なポイントだ。

 守田英正、遠藤航、田中碧と、日本の中盤にはボール奪取スキルの高い人材が豊富だが、取りに行ってかわされてはピンチになる。実際、昨夏に東京オリンピックでスペインと対戦した時には、ブンデスリーガのデュエル王である遠藤をもってしても、ペドリからはなかなかボールを奪いきれなかった。

 では、マドリーのように、"動"ではなく"静"で対処すべきか。ただ、欧州王者がこの策を取れたのは、「ラストパスを出されても、最後の局面で防げる」という、最終ラインの強さに対する自信の表われでもある。日本にとって有効かどうかは難しいところだ。

 もちろんスペインは組織力が売りのチームであり、ひとりを警戒すればいいというは話ではない。とはいえ、この男を抑え込まないと勝機は見えてこないだろう。森保ジャパンがどんな"対処法"を取るかは、この一戦のひとつのポイントだ。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)

【動画】ヴィニシウスの絶妙ヒールパス→バルベルデが決めた強烈なミドル弾

【PHOTO】レアル・マドリー3-1バルセロナ|バルベルデの強烈ミドル炸裂!ベンゼマも決めて250回目のエル・クラシコは快勝!

次ページ【動画】ワンツーから見事な展開。ペドリを起点に作り出したバルサの決定機

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事