「声援が優勝につながった」荒木翔の感謝で思い出した甲府サポーターの感動秘話

2022年10月17日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「いざピッチに立ってみると、甲府のサポーターのほうが多い」

甲府サポーターによる壮大なコレオ。選手たちに素晴らしい後押しをしていた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[天皇杯決勝]甲府1(5PK4)1広島/10月16日/日産スタジアム

 キャプテンマークを巻いて天皇杯優勝を勝ち取った荒木翔は、ヴァンフォーレ甲府のサポーターに感謝を述べた。

「たくさんサポーターが来るのは聞いていましたが、相手はJ1クラブですごく調子が良いサンフレッチェなので、サポーターの数は広島のほうが多いと思っていました。でも、いざピッチに立ってみると、甲府のサポーターのほうが多いし、声援もすごく大きかった。この声援が、優勝につながっていると思います」

 荒木の言うとおり甲府サポーターの後押しは凄まじかった。ゴール裏をびっしりと埋め尽くし、入場時には壮大なコレオで選手を迎える。試合中は大きな声で応援を絶やさなかった。

 ふと思い出したのは、株式会社はくばくで代表取締役社長を務める長澤重俊氏の話である。2001年、経営危機に陥った甲府を救うために、広告目的なしで胸スポンサーを引き受けた恩人で、02年に同社の工場が火災に見舞われた際の甲府サポーターとの感動秘話を明かしてくれた。

「ヴァンフォーレの熱心なサポーターは、ようやくはくばくがスポンサーについてくれて、危機を脱したと思ったのかな。そこで、ウチが火事になったと聞いて、自発的にネットでサイトを立ち上げ、はくばく商品の購買運動をしてくれたんだよね。気持ちで答えてくれたのは、非常にありがたかったよ。我々もメインスポンサーになったのは、気持ちみたいなものだからね。損得勘定はないから。僕らの無償の愛に対して、サポーターも無償の愛で返してくれて、非常に嬉しかった」
 
 株式会社はくばくは毎年、シーズン終了後に新聞広告などで応援メッセージを掲出している。昨季終了後に掲載されたのは、「さあ、一緒に応援してみませんか みんなの山梨を元気にするヴァンフォーレ甲府を。」だった。

 天皇杯決勝では、まさに一丸となって応援していた。そしてヴァンフォーレ甲府の選手たちはタイトルを獲得して、みんなの山梨をまた元気にしている。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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