「恥を知れ!」「なんて図々しいんだ」“神の手&5人抜き”の伝説ボールを競売にかける元主審に英国から猛批判の嵐!

2022年10月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

オークション会社は「5億円の価値がある」と豪語

握手を交わすマラドーナとシルトンの両主将。中央奥がナセル主審で、左端には伝説のボール「アステカ」も。(C)Getty Images

 英国から仰天のニュースが飛び込んできた。

 現地10月14日、ロンドンに拠点を置くスポーツ専門のオークション会社「グラハム・バッド・オークションズ」が、ひとつの超レアグッズを出品すると発表した。1986年のメキシコ・ワールドカップ準々決勝、アルゼンチン代表対イングランド代表戦で実際に使用された、唯一無二のサッカーボールである。
【動画】1986年W杯、世界を驚かせたマラドーナの「神の手ゴール」をもう一度!

 同社のアダム・ガスコイン氏は、「アルゼンチンのディエゴ・マラドーナが神の手と5人抜きというふたつの伝説的なゴールを決めたゲームであり、0-2からイングランドのガリー・リネカーが返した1点は、彼を大会得点王に導いたゴールだ。まさに、歴史に燦然と輝くゲームをもたらしたボール。250万ポンド(約4億1500万円)から300万ポンド(約5億円)の価値があると考える」と豪語した。

 さらにガスコイン氏は「現在はマルチボール・システムが採用されているため、1試合で大量のボールが使用されている。だが当時は違う。試合開始から終了までの90分間、このひとつのボールだけが使用されたのだ。おのずと価値は高まるだろう」と付け加えた。

 気になる出品者は、いったい誰なのか。なんと、当時のアステカ競技場で笛を吹いたチュニジア出身主審のアリ・ビン・ナセル氏だ。タイムアップと同時にボールを回収し、その後およそ36年間に渡ってチュニジアの自宅の食器棚に飾っていたという。
 

 なぜ78歳になった今になって売ろうと決意したのか。ナセル元主審は「このボールはフットボールの歴史の一部であり、今こそが広く世界で共有されるべき最適なタイミングだと考えた」と意図を明かし、「落札してくれた方にはぜひお願いしたい。身近に大衆が観られるような場所に保管してほしい」と要望を添えた。「英国はフットボールの母国。競売の地として相応しい」とも語っている。

 オークション会社は補足として、ボールがマラドーナ氏の"公認"である点も強調。氏は2020年11月に60歳の若さで亡くなったが、生前の2015年にチュニジアにあるナセル氏の自宅を訪れ、ハグ&キスで再会を祝った。そしてアルゼンチン代表ユニホームをプレゼントし、ナセル氏に対して「君は永遠の友だ」と語りかけたという。"神の手"を見逃してくれた恩人、という位置づけもあっただろうか。

 しかしながら、今回のオークションに関しては批判が高まっており、とりわけ英国では大物やファンが怒りの声を上げている。

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