EURO予選で2敗を喫したのは、84年大会以来のことだ…。
アイルランドにはホームで1-1、アウェーで0-1と負け越した。ストレートにパワーで押してくる相手を撥ね退ける力が、今の代表チームには欠けているということか。 (C) Getty Images
昨夏、ブラジル・ワールドカップで圧倒的な強さを発揮して24年ぶりとなる世界王者に返り咲いたドイツ代表が、EURO2016予選ではおおいに苦しんだ。
隣国ポーランドに乗り込んだ2節で早くも初黒星を喫すると、本大会出場に王手をかけた9節にはアイルランドに惜敗――同国には本拠地でも勝てなかった――。
ホームで迎えた最終節のジョージア戦でも思わぬ苦戦を余儀なくされ、マックス・クルゼの決勝点(79分)で辛うじて勝利を手繰り寄せ、フランス行きの切符を掴み取った。ちなみに、ドイツがEURO予選で2敗を喫したのは1984年大会以来、実に30年ぶりである。
最終的に首位通過を決めたとはいえ、今予選を総括すれば、収穫よりも課題のほうが多くなるだろう。
何より物足りなかったのは、決定力だ。試合の主導権を握りながら肝心のゴールが奪えず、引いて守る戦術を徹底する相手のカウンターに幾度となく脅かされた。いわゆる効率性に欠け、ドイツらしい勝負強さはほとんど見られずじまいだった。
決定力不足に陥った要因のひとつは、やはり「ポスト・クローゼ」の不在。ブラジルW杯で引退したこの生粋のストライカー、ミロスラフ・クローゼのように、ここ一番で頼りになるフィニッシャーが台頭していないのだ。
大きな問題は、オプション(ジョーカー役)として有効活用できるCFさえ育っていない事実で、ブラジルW杯以降はマリオ・ゲッツェやトーマス・ミュラーを最前線に配するゼロトップシステムに完全移行している。
しかし、そのゼロトップへの移行に伴い、仕掛け・崩しの局面におけるクオリティーはすこぶる高まった。偽CFのゲッツェと、2列目のマルコ・ロイス、メスト・エジル、ミュラーが頻繁にポジションチェンジしながら、中央・サイドからバランス良く手数を出していく攻撃は、狭いスペースをこじ開ける打開力を秘めている。
4-2-3-1の2ボランチを組むトニ・クロースとバスティアン・シュバインシュタイガーが小気味良くパスを振り分けて、個人技も連係プレーも得意とする前線の4人が手を替え品を替え、相手のゴールに襲い掛かるサッカーは、本大会でも大きな武器となるだろう。
急速的な成長を遂げるCFが出現しないかぎり、現状のゼロトップをベースに決定力不足を解決できるかが、欧州制覇に向けた大きな鍵になる。
隣国ポーランドに乗り込んだ2節で早くも初黒星を喫すると、本大会出場に王手をかけた9節にはアイルランドに惜敗――同国には本拠地でも勝てなかった――。
ホームで迎えた最終節のジョージア戦でも思わぬ苦戦を余儀なくされ、マックス・クルゼの決勝点(79分)で辛うじて勝利を手繰り寄せ、フランス行きの切符を掴み取った。ちなみに、ドイツがEURO予選で2敗を喫したのは1984年大会以来、実に30年ぶりである。
最終的に首位通過を決めたとはいえ、今予選を総括すれば、収穫よりも課題のほうが多くなるだろう。
何より物足りなかったのは、決定力だ。試合の主導権を握りながら肝心のゴールが奪えず、引いて守る戦術を徹底する相手のカウンターに幾度となく脅かされた。いわゆる効率性に欠け、ドイツらしい勝負強さはほとんど見られずじまいだった。
決定力不足に陥った要因のひとつは、やはり「ポスト・クローゼ」の不在。ブラジルW杯で引退したこの生粋のストライカー、ミロスラフ・クローゼのように、ここ一番で頼りになるフィニッシャーが台頭していないのだ。
大きな問題は、オプション(ジョーカー役)として有効活用できるCFさえ育っていない事実で、ブラジルW杯以降はマリオ・ゲッツェやトーマス・ミュラーを最前線に配するゼロトップシステムに完全移行している。
しかし、そのゼロトップへの移行に伴い、仕掛け・崩しの局面におけるクオリティーはすこぶる高まった。偽CFのゲッツェと、2列目のマルコ・ロイス、メスト・エジル、ミュラーが頻繁にポジションチェンジしながら、中央・サイドからバランス良く手数を出していく攻撃は、狭いスペースをこじ開ける打開力を秘めている。
4-2-3-1の2ボランチを組むトニ・クロースとバスティアン・シュバインシュタイガーが小気味良くパスを振り分けて、個人技も連係プレーも得意とする前線の4人が手を替え品を替え、相手のゴールに襲い掛かるサッカーは、本大会でも大きな武器となるだろう。
急速的な成長を遂げるCFが出現しないかぎり、現状のゼロトップをベースに決定力不足を解決できるかが、欧州制覇に向けた大きな鍵になる。