エクアドル戦でのスタメン総入れ替えの舞台裏。ドイツ遠征で森保ジャパンが得たモノ【編集長コラム】

2022年09月28日 本田健介(サッカーダイジェスト)

“プレワールドカップ”も意識

スタメンを総入れ替えしたエクアドル戦はスコアレスドロー。ドイツ遠征での2連戦は1勝1分だった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]日本 0-0 エクアドル/9月27日/デュッセルドルフ・アレーナ

 11月末に開催されるカタール・ワールドカップに向けドイツ遠征を行なった森保ジャパンは、その締めくくりとして9月27日にエクアドルとの強化試合に臨み、0-0のスコアレスドローでゲームを終えた。

 4日前のアメリカ戦には2-0と快勝していたチームは、指揮官が明言した通り、スタメンを全員入れ替えてエクアドルに挑んだ。

 GKはシュミット・ダニエル、最終ラインは右から山根視来、谷口彰悟、伊藤洋輝、長友佑都、ダブルボランチに柴崎岳、田中碧、2列目は右から堂安律、南野拓実、三笘薫、CFに古橋亨梧という並びだ。

 もっとも序盤から選手間の距離が遠く、なかなか良い形で連係できない。日本と同じくワールドカップに出場するエクアドルを相手に強度、スピードを含めて後手を踏んだ印象もあった。

 よりオープンな展開になった後半は日本もチャンスを得た一方で、試合終盤のPKのピンチをGKシュミットが阻んでいなければ負けていた一戦である。無失点で終えられた点は収穫も、攻撃面など少なくない課題は残ったと言えるだろう。
 中3日で戦ったアメリカ戦とエクアドル戦は"プレワールドカップ"という意味合いも含まれた。カタールでの本番はドイツ、コスタリカ、スペインの順で対戦するだけに、相手のレベルやシチュエーションは大きく異なるが、ハイプレスでアメリカを苦しめた"第1戦"で勝点3を取り、続く第2戦では勝点1を得たと見れば、グループリーグ3戦に当てはめた場合には悪くない結果だったのかもしれない。

 本番では初戦のドイツから勝点3を奪うのは相当に難しいミッションで、逆に第2戦のコスタリカ戦では勝点3がマストになることは言うまでもないが、エクアドル戦の前日にアメリカ戦からのスタメンの総入れ替えを明言していた森保一監督は、こう語っていた。

「選手がやってくれるという期待は持っています。ただし上手くいかないことも、対戦相手があっての試合なので、起こり得ると考えています。ワールドカップでグループリーグ3戦を考えると、ドイツとスペインはワールドカップでも優勝している世界トップトップのチームで、コスタリカもベスト8に入っている世界の強豪。

 初戦ドイツと戦った時、選手たちは普段も厳しい環境でインテンシティ高い試合をしていますが、ワールドカップ初戦のプレッシャーであったり、相手の力を踏まえた時に、普段よりも恐らく想像以上の大きなエネルギーを使うことになります。具体的に心身ともに中3日で回復できないような試合をしなければ、勝点3を取るのは厳しい。

 そうなった時、一部の選手で積み上げてチーム力を上げるだけではなく、分かりやすく言うと2チームくらいの戦力があるというなかで、疲弊している選手を入れ替える。6月シリーズのようにチームを入れ替えながら戦えるくらいに準備しないと、我々の目標とするところ、ベスト16の壁を破ってベスト8以上に行くことは難しいかなと考え、これまでトライしてきました。

 6月は具体的に変え、さらに人も変えていき、誰と組んでも機能する、チームの勝利のため機能することは言葉では簡単ですが、やる選手たちは難しいことを要求されていると思います。ただ、勝つために必要なトライだと考えています。選手たちもストレスになると重々分かったうえで、そこを乗り越えてさらに結果を出せるようにしないといけません。過去6大会出場した中で行けていないところに行こうとしているわけで、最終的にどういう決断をするかは分からないですが、同じようなことをやっていては結果は出ません。

 より結果を出すためには難しいことを乗り越えて、準備しなければならないと覚悟しています。日本はたくさん良い選手がいるので、就任当初からより多くの選手を代表に招集させてもらいながら、日本代表全体の選手層を厚くする、最後のカタール本大会でより強く、より高い頂点でチーム作りをするとやってきたので、最後までやってきたことを貫きたいです。それが日本代表の勝利と日本サッカーの発展につながる。これまでの考え方の原理、原則でそこから判断したことをエクアドル戦でも続けていきたいです」
 

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