権田負傷でW杯に向けたGK争いは混とん。一歩リードのシュミット・ダニエルが抱かせる期待感

2022年09月27日 元川悦子

「結果で自分が出ても問題ないことを見せられたらいい」

アメリカ戦では、負傷した権田に代わって急きょ途中出場したシュミット。落ち着いたパフォーマンスを見せた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 2022年カタール・ワールドカップ(W杯)本番まで2か月を切り、日本代表のチーム作りもいよいよ最終段階。9月27日のエクアドル戦で森保一監督は、11人全員入れ替えを明言。思い切ったターンオーバーに打って出た状態でも、チーム力が低下しないことを実証しなければならない。

 今回は、最前線の古橋亨梧(セルティック)、2列目の堂安律(フライブルク)、南野拓実(モナコ)、三笘薫(ブライトン)らが攻撃陣を形成。彼らをボランチの田中碧(デュッセルドルフ)と柴崎岳(レガネス)がフォローすると思われる。

 また、冨安健洋(アーセナル)と板倉滉(ボルシアMG)が不在の最終ラインには、山根視来、谷口彰悟(ともに川崎)、伊藤洋輝(シュツットガルト)、長友佑都(FC東京)が並ぶ見通しだ。

 そして、権田修一(清水)が負傷離脱したGKは、23日のアメリカ戦で後半からピッチに立ったシュミット・ダニエル(シント=トロイデン)が、スタートから最後尾に陣取りそうだ。

「試合に出してもらえるならアピールのチャンス。結果で自分が出ても問題ないことを見せられたらいい」とシュミット自身も静かな口調のなかに飽くなき闘志をにじませた。
 
 振り返ってみると、シュミットは森保ジャパン発足直後の2018年11月のベネズエラ戦で初キャップを飾り、持ち前の足もとの技術とビルドアップの起点となる展開力を随所に披露。見る者に好印象を与えた。2019年アジアカップでも、メンバーを大幅に入れ替えた3戦目のウズベキスタン戦に出場。着実に代表実績を積み重ねていた。

 しかしながら、2019年6月のコパ・アメリカから大ベテランの川島永嗣(ストラスブール)が復帰。同年には大迫敬介(広島)、2021年には谷晃生(湘南)といった東京五輪世代の若手も招集されるようになり、生存競争が一段と激化した。

 こうしたなか迎えたW杯最終予選。初戦のオマーン戦から、本大会の切符を掴んだ今年3月のオーストラリア戦まで、9試合のゴールマウスを権田が守り、絶対的存在に君臨した。ラストのベトナム戦でピッチに立ったのは川島。シュミットはまさかの出番なしに終わり、厳しい立場を強いられた。

 とはいえ、「世界基準のワールドカップでは、2メートル近い長身を誇る大型GKが必要になる」と森保監督も考えていたのかもしれない。リスタート時の高さ対策、敵の攻撃陣に威圧感を与える意味でも、確かに大柄な守護神は優位性がある。

 そうした意図なのか、指揮官は6月の国際親善試合、パラグアイ戦やチュニジア戦などでシュミットをスタメン起用。後者は0-3の大敗を喫するという後味の悪い結果に終わったが、シュミット自身は、プレーからもW杯に一歩近づいた印象だった。
 

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