三笘や伊東のように――神戸内定の泉柊椰が偉大なサイドアタッカーになるために、“トップ下”は重要な経由地に

2022年09月26日 安藤隆人

神戸U-18時代にトップ下を経験

ドリブラーゆえの悩み…より結果にこだわる泉は、トップ下を経験することで、さらに進化できるか。「全部吸収して成長につなげたい」と意気込み。写真:安藤隆人

 関西トップクラスのサイドアタッカーであるMF泉柊椰(びわこ成蹊スポーツ大学4年/ヴィッセル神戸内定)が今、ターニングポイントを迎えようとしている。

 爆発的なスピードとスムーズな両足のボールタッチ、そして軽やかなステップワークを駆使したドリブル突破が魅力の泉は、左サイドのスペシャリスト。びわこ成蹊スポーツ大でも、全日本学生選抜としての日韓戦(韓国)や、U-23日本代表としてのU-23カンボジア代表戦(カンボジア)でも、左サイドハーフとして存在感を放った。

 だが、この海外遠征直前の千葉合宿の最終日に行なわれた関東大学1、2年生選抜との試合では、トップ下として前半の45分間プレーしたのだった。

「正直、あまりやったことがないので慣れないですし、慣れるのには時間がかかると思います。僕は相手の死角に入って斜めに走っていくのが得意なのですが、真ん中でゴールに向かって走ることは、最近はやったことがないので、いつ相手を剥がすのか、どうすべきかが分からない時があります。サイドだとライン全体が見えてオフサイドとかタイミングを図れるのですが、真ん中だと見えないので飛び出すタイミングが難しいですね」

 試合後、泉はこう口にしていたが、トップ下としてのプレーを見て、非常に高い適性を持っていることと、このポジションをこなすことの大きなメリットを感じた。

 泉はもともと神戸U-18時代にトップ下を経験していた。細かいボールタッチを活かして、狭いスペースでもボールを収めて、加速してゴールに迫ることができる選手だった。
 
 びわこ成蹊スポーツ大に進学すると、その類稀な突破力とスピードを評価されてサイドアタッカーで固定され、そこから大学サッカー界を代表するサイドアタッカーに成長を遂げた経緯があった。

 本人が言うように、関東大学1、2年生選抜との試合では、久しぶりのトップ下のポジションに最初は戸惑いを見せていたが、時間が経過していくにつれて、徐々に小さなスペースでも加速できる力が発揮されるようになった。

 そして1-1で迎えた39分、右サイドでボールを繋ぐ味方に対し、中央からペナルティエリア左前にできたスペースを見つけた泉は、素早くサイドステップをしてDFの視野から消える動きでスペースに潜り込むと、パスを受けて、一瞬でスピードに乗ってカットインから右足一閃。ボールは鮮やかにゴール右隅に突き刺さって決勝点をマークした。

 このプレーこそ、泉がトップ下に適性があることを証明したものでもあった。
 

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