「明確なやり方があった」万全のシミュレーションとプランニング。密なコミュニケーション。有意義なアメリカ戦。“W杯仕様”への準備は着々と

2022年09月25日 河治良幸

逆サイドの選択肢を規制していたことも見逃せない

4-2-3-1システムで臨んだアメリカ戦。機を見たプレッシングで奪い、そのままショートカウンターにつなげた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]日本2-0アメリカ/9月23日/デュッセルドルフ・アレーナ

 アメリカ戦は「良い守備から良い攻撃」というコンセプトが、そのまま発揮された試合だった。

 鎌田大地をトップ下に置く4-2-3-1の狙いは攻守両面であったと考えられるが、アメリカに対して守備の狙いが明確だったことで、基本的にコンパクトなミドルブロックを引いたところから、機を見たプレッシングで高い位置のボール奪取、そのままショートカウンターにつなげるシーンが多く見られた。

 25分の鎌田の先制点も、まさに高い位置でボールを奪ってのショートカウンターだった。守田英正とのプレッシャーで伊東純也がカットしたところから、守田を経由して、左でフリーになった鎌田に繋がった。

 一度はオフサイドの判定となったが、相手ディフェンスより前に出ていた前田大然はプレーに直接関与しておらず、守田からパスを受けた鎌田もギリギリでオンサイドだったことで、ゴールが認められた。

 このシーンでも奪った場所は伊東と守田のところだが、前田のスプリントに加えて、ボランチの遠藤航と、左サイドで起用された久保建英が逆サイドの選択肢を規制していたことも見逃せない。

 基本的にアメリカは4-3-3で、左右のサイドバックが高い位置を取ろうとするので、前田と鎌田でセンターバック2枚と、アンカーのタイラー・アダムスをチェック。右の伊東は左サイドバックのサム・バインズ、左の久保は右サイドバックのセルジーノ・デストを見ながら、反対サイドにボールがある時はインサイドハーフの選手も見ることで、遠藤と守田がボールサイドにプレッシャーをかけることができる。
 
 もちろん、アメリカも完全な固定システムではないので、インサイドハーフの1人が下がって3枚になるような状況では、少し崩して久保か伊東のどちらかがワイドに開いたセンターバックに行って、サイドバックは後ろの酒井宏樹や中山雄太が預かるようなメカニズムが機能していた。遠藤は振り返る。

「前半もどっちかと言うと3バック、ディフェンダーというよりもインサイドハーフだったり、アンカーの選手がちょっと落ちて3枚気味に作った時に、タケだったり純也がそこに対して行くと。2トップだとなかなかそこは追い切れないし、そこでハマらない、みたいなのがあるけど、タイミング良く、うまく純也だったりタケが相手の3バックに対して行くってところはチームとして持っていた」

 大きな枠組みはミーティングを通じて森保一監督からも提示されていたようだ。攻守に活躍が目立った鎌田も「戦術練習からミーティング、相手がどう来るから自分たちはどうするという明確なやり方があったし、選手自身がそれをちゃんと理解して、チームとして動けていたと思う」と言う。
 

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