大迫&浅野が不在の日本代表、“スピード系FW”起用でW杯勝利への道を切り開けるか? 鎌田大地も強調「今のサッカー界は足が速くてナンボ」

2022年09月21日 元川悦子

現状の最前線ファーストチョイスは古橋か

主軸FWを欠く9月シリーズの日本代表。古橋(左)、前田(右)らスピードタイプのFWがハマれば、W杯に向けてより幅広い選択肢が持てる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表は9月19日に、ドイツ・デュッセルドルフで合宿をスタートさせた。2日目の20日には、合流が遅れていた長友佑都(FC東京)、権田修一(清水)、相馬勇紀(名古屋)の国内組3人も到着。ようやく30人全員が揃った。

 現時点ではまだコンディションにバラつきがあるため、全員が約2時間の練習で、調整の全てをこなしたわけではなかった。それでも、フィールドプレーヤー19人は10対9+GK、9対9+フリーマン+GKなどの実戦形式を消化した。

 主力組と見られる側には、最前線に前田大然(セルティック)が陣取り、2列目は右から原口元気(ウニオン・ベルリン)、鎌田大地(フランクフルト)、南野拓実(モナコ)が入るという4-2-3-1の形をとっていた。23日のアメリカ戦は、最終予選の序盤までベースにしていたこの布陣で戦う可能性が高まった。

 そこで気になるのは、FW陣の起用法と役割だろう。この日、古橋亨梧(セルティック)は途中でクールダウンに回ったため、ゲーム形式には参加しなかった。だがおそらく古橋が現状でのファーストチョイスと見られる。
 
 ご存じの通り、ボールを収めて時間を作れる大迫勇也(神戸)、前線で身体を張れる浅野拓磨(ボーフム)が負傷離脱している今、日本はこれまでとは異なる戦い方を見出さなければならない。それは前田が入った時も同じ。いかにしてスピード系の1トップのストロングを生かしつつ、得点を狙っていくのか。そこはカタール・ワールドカップ(W杯)につながる重要なテーマと言っていいだろう。

「これから試合をする相手は、アジア最終予選と違って自分たちと同等かそれ以上のチームが増えていく。僕自身、速い選手がいてくれたらやりやすさをもっと感じるだろうし、試合展開も守ってカウンターだったりになると思う。今のサッカー界は足が速くてナンボだし、そういう選手が日本にはたくさんいる。それはすごく良いことかなと思います」

 久しぶりにトップ下でプレーしそうな鎌田も、世界基準を踏まえつつ、こう語っていたが、ドイツやスペインと対峙する場合、確かに日本はボールを握られ、守勢に回る時間が長くなる。そうなれば、やはりショートカウンターからのゴールを虎視眈々と狙っていくのが得策だ。それを具現化するためにも、走れて敵を追いかけ回せるアタッカーが前線にいたほうが効果的。そう考えるのが自然だ。

 彼らFW陣にラストパスを供給するボランチの守田英正(スポルティング)も「自分が縦に速いチームに行ったので、スピードある選手や裏抜けする選手に良いボールを配給できるという自信を持てている」と前向きにコメントしていた。

 守田と中盤でコンビを組むであろう遠藤航(シュツットガルト)も、クラブではインサイドハーフを務める場合が多く、縦への意識は確実に上がっている。そういったメリットを生かしながら、古橋、前田らと息を合わせ、素早い攻めからのゴールを奪えれば、「脱大迫・浅野」の道筋も見えてくるはずだ。
 

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