長谷部誠、遠藤航、鎌田大地、伊藤洋輝。ブンデスで“4人同時先発”の一戦で躍動したサムライたちの現在地

2022年09月18日 河治良幸

セットプレーからの3発でフランクフルトが勝利

鎌田は、全3得点に絡む活躍。直接FKでチームの2点目を挙げた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 現地時間9月17日に行なわれたブンデスリーガ第7節、シュツットガルトがホームにフランクフルトを迎えた試合で、4人の日本人選手がスタメンで同じピッチに立ち、フル出場した。結果は3−1で、セットプレーから3つのゴールを決めたフランクフルトが勝利したが、4人それぞれがタスクをこなしながら持ち味を出した。

 勝利したフランクフルトで、直接FKでチーム2点目を挙げるなど全3得点に絡んだ鎌田大地は、3-4-2-1の右シャドーでプレーした。イェスパー・リンドストロムというデンマーク代表の攻撃的MFが不在で「僕は6番(ボランチ)で今日は出たいなって思っていたんですけど、まあ前やっちゃうと結構スプリントの回数とか増えるし、連戦だったので、今日はしんどくなるだろうなって思っていました」と鎌田は振り返る。

 二列目の左にパス能力の高いマリオ・ゲッツェがいる関係性の中で、「裏に抜ける選手が減っていたので、マリオが足もとで受けて、自分は裏に抜けようかなっていう感覚でいました」と語る通り、鎌田は出し手より受け手としての意識を強めて、シュツットガルトの左CBを担う伊藤洋輝と左ウイングバックのクロアチア代表ボルナ・ソサの間などを狙い、CKやFKの獲得にも貢献した。

 今シーズン4得点目となるゴールは、FKが壁に当たって方向が変わるラッキーな形ではあったが、対戦した遠藤航が「彼は今、調子メチャ良さそうだし、それは代表にとってはいいと思ってる」と述べるように、良い状態で9月の代表活動に入って行けそうだ。
 
 元日本代表キャプテンの長谷部誠も、1-0と勝利したチャンピオンリーズのマルセイユ戦の活躍が認められる形で、今季ブンデスリーガでは初先発となった。終盤には交代したセバスティアン・ローデからキャプテンマークを引き継いだ。試合後、ミックスゾーンに現われた長谷部の左腕には、そのまま赤いキャプテンマークが巻かれていた。

 長谷部の起用はオリバー・グラスナー監督の3バック採用に紐付けられる。4バックだとディフェンスのサブに回らざるを得ないが、リベロというポジションがあれば、長谷部ほどの適任者はフランクフルトに存在しない。ビルドアップも含めて、言わば「長谷部システム」とも言える。シュツットガルト戦でも周囲のディフェンスを背後でカバーする形を取り、必要ならサイドにまで流れて相手のカウンターを遮断した。

「自分が出た時に何ができて、何ができないかということは、自分の中で割り切ってやっているし、その中で自分の良さ、周りの選手の良さを補い合いながらというか、そういうところがある」

 そう語る長谷部に「周りの味方がアグレッシブに行ったところの裏の動きがよく見えた」と評価を伝えると、「周りがアグレッシブに行ったこぼれ球とか、アグレッシブに行った分、リスクがあるなかで抜かれた時のカバーリングとかは先読みしてやらなくちゃいけない」と回答。4バックでやっている時は2人のCBの負担が大きいと感じていたそうだが、だからこそリベロとして存在感を示すことに意味がある。
 

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