“バイエルン帰り”の福井太智、8発圧勝のパレスチナ戦で“理想の姿”を体現。「最後までゼロに抑えられたことは良かった」【U-19代表】

2022年09月17日 松尾祐希

組み立て役を担いながら得点にこだわる

CKでのサインプレーで待望のゴールを挙げた福井(20番)。「ミーティングで擦り合わせただけ。うまく決まって良かった」と振り返る。写真:佐藤博之

[U-20アジア杯予選]日本8-0パレスチナ/9月16日/ナショナル・スタジアム(ラオス)

 グアム戦(9-0)に続く大量得点での勝利に導いたのは、"ドイツ帰り"のプレーメーカーだった。

 現地時間9月16日、U-19日本代表はU-20アジアカップ予選の3戦目を戦い、パレスチナに8−0で完勝を収める。これで3連勝を飾り、イエメンとの最終戦を引き分け以上で終えれば首位通過が確定し、来年5月に開催されるU-20ワールドカップの最終予選を兼ねた本大会行きが決まる状況となった。

 このパレスチナ戦で存在感を発揮したのが、高校3年生ながら鳥栖のトップチームでプレーする福井太智だ。常日頃から「点が取れるボランチを目ざしたい」と口にしており、中盤でゲームを組み立てる役割を担いながら、得点にこだわる気持ちは誰よりも強い。

 今予選で初出場となったグアムとの第2戦では、U-19代表やクラブで任されるケースが多いアンカーではなく、よりゴールに近いインサイドハーフでプレーした。だが無得点。自身が掲げる理想の選手になるべく、パレスチナ戦ではゴールを渇望していた。

 そんな福井にチャンスが巡ってくる。28分だ。日本が左CKを獲得すると、松田隼風(水戸)は相手の意表を突いてサインプレーを決断。マイナス方向にボールを送ると、ペナルティーアーク付近から福井が右足でゴールに蹴り込んだ。

 実のところサインプレーは、前日のトレーニングが疲労を考慮して散歩のみになったため、練習では一度も試していない。それでもトライしたのは、相手の状況を分析していたからだった。
 
「相手の戦術的に(スペースが)空いているというのが分かっていたので、昨日のミーティングで擦り合わせただけ。うまく決まって良かった」(福井)

 まさに阿吽の呼吸――。状況を冷静に分析し、シュートも正確に打ち込んだ。

 もちろん、ゴール以外でも福井は躍動。パレスチナ戦では4−3−3のアンカーを任され、中盤の底から攻撃を司る。長短を織り交ぜたパスでゲームを作りながら、隙あらば鋭い縦パスを入れていく。守備でも球際で激しく戦い、2日前にフル出場したとは思えない運動量でボールを拾い続けた。
 

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