【浦和×鳥栖│クローズアップ】埼スタを沈黙させた、第1ステージ大敗の“戦犯”

2015年10月03日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

「信じて飛び出した」吉田の前半唯一のシュートが値千金の同点弾に。

鳥栖の前半唯一のシュートで同点弾を沈めた吉田(右)。第1ステージでの借りを返すゴールとなった。写真:徳原隆元

 その瞬間、埼玉スタジアムが沈黙した――。鳥栖の吉田が値千金の同点ゴールをねじ込んだ。

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 浦和に1点リードされて迎えた31分、藤田の負傷により急遽先発した高橋のクサビから池田を経由し水沼へ。水沼のスルーパスに裏のスペースを突いて反応したのが左ウイングバックの吉田だった。
 
「(高橋)義希が縦パスをつけるところから、練習で取り組んできたダイレクトプレーを出してくれた」(森下監督)という展開から、生まれた同点弾だった。しかも、これが鳥栖の前半唯一のシュートであった。
 
「(水沼)宏太からは『俺を信じて走り出していてくれ。必ずパスを出すから』と言われていた。そのとおりパスが来た。
 
 狙っていたところにボールを置けず、『入ってくれ!』と思ってシュートを打った。本当に入ったのかどうか、最初はよく分からなかった」
 
 吉田は小さく微笑んだ。
 
 第1ステージの対戦で、鳥栖は1-6と大敗を喫している。その試合で前半早々にレッドカードを受けて退場していたのが吉田だった。
 
「チーム、それにサポーターに対し、本当に迷惑をかけてしまった。それだけに、今度は自分の力でチームを助けたいと思っていた」
 
 勝利に導けなかっただけに満足はしていない。それでも吉田はこのドローをポジティブに捉え、こう言った。
「次勝つことができれば、このアウェー(埼玉スタジアム)で獲得できた勝点1も意味を持つ。リーグ戦、天皇杯、ともに勝利を目指していきたい」
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)
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